患者視点から誕生した子宮体がんサポートノート『歩自彩(Ajisai)』の背景とは
近年、製薬業界においては、患者さんの体験を重視する動きが加速しています。その中で、アストラゼネカ株式会社と株式会社mctが共に手掛けた「BRIDGEプロジェクト」は、特に注目に値します。このプロジェクトの成果として、子宮体がん患者を支えるノート『歩自彩(Ajisai)』が誕生しました。今回はこのノートの背景や開発プロセスについて紹介します。
BRIDGEプロジェクトの目的
アストラゼネカは2020年から、患者に価値ある体験を提供することを目指して「BRIDGE」プロジェクトを開始しました。その目指すところは、単に新薬を提供することではなく、患者が抱える日常の困難に寄り添うことでした。患者視点に立ち、より良い医療を提供するための新たな取り組みとなっています。
子宮体がん患者の現状
子宮体がんは手術による根治が期待される疾患ですが、治療後にも多くの課題が残ります。後遺症による生活の質の低下や、子宮を失うことによって生じるアイデンティティの揺らぎは、目に見えない心の負担を患者にもたらします。『歩自彩(Ajisai)』は、こうした問題に向き合うために開発されました。
開発のプロセス
プロジェクトは約1年にわたり行われ、具体的なアイデアを元にプロトタイピングが進められました。初期段階ではアイデアの存在にはあったものの、実際に患者や医療従事者のニーズに応える形に落とし込む過程は容易ではありませんでした。
アストラゼネカが策定した「ライフゴール」の概念をもとに、冊子の構成が設計され、けっしてただの療養ガイドではなく、自分自身を見つめ直すための助けになる内容が目指されました。医療従事者との密な対話を通じて得た知見を基に、患者が求める心の寄り添いについても検証されました。
ノート『歩自彩』の特徴
『歩自彩(Ajisai)』は、全16ページからなるノートで、問いに沿って自身の感情や価値観を整理することができます。これにより、患者が自身の過去、現在、未来を振り返りながら、感情を言語化し、家族や医療従事者と気持ちを共有するきっかけを提供します。単なる書籍ではなく、自己を見つめ直すための重要な道具です。
医療におけるデザインの意義
このプロジェクトを通じて、製薬会社が患者の体験に向き合う重要性が再認識されました。「薬だけでは解決できない課題」に焦点を当て、患者視点を取り入れた医療が求められています。本プロジェクトは、医療業界がより良い価値を提供するための一歩として位置づけられています。
まとめ
「BRIDGEプロジェクト」とノート『歩自彩(Ajisai)』は、医療におけるユーザー中心デザインの重要性を示す好例と言えます。患者視点から生まれたこのノートは、多くの患者に寄り添う一助となることでしょう。今後もこのような取り組みが進展することが期待されます。