主治医との信頼関係が患者の満足度に与える影響
株式会社mctとピーエムリンク合同会社は、アトピー、うつ病、炎症性腸疾患(IBD)、乳がん、小児てんかんという5つの疾患領域における医師と患者の情報ニーズに関する調査を実施しました。この調査の内容は、患者が主治医との関係にどのように満足しているのか、また、患者の生活にどのように影響があるのかを明らかにすることを目的としています。
調査の概要
調査は2024年11月上旬にオンラインアンケート形式で行われ、251名の患者が参加しました。調査対象となった疾患はアトピー(53名)、うつ病(43名)、IBD(51名)、小児てんかん(49名)および乳がん(55名)です。この結果から、主治医に対する満足度は、患者がどれだけ自分の病気や治療に関して話しやすいと感じているかによって大きく変わることが確認されました。
相談しやすさが満足度に影響
患者が主治医を「相談できる相手」と認識することが満足度を高める要因であることが分かりました。また、治療過程において生活の悩みをどれだけ相談できているかが、疾患によっても異なり、うつ病では65%の患者が相談できていると回答したのに対し、アトピーではわずか32%でした。
この結果により、主治医が患者の悩みをしっかり受け止める姿勢が、患者の主治医に対する信頼感につながることが明らかとなりました。逆に、生活の悩みを相談できない場合、満足感が低くなる傾向がありました。
治療に関する情報ニーズ
調査において、患者が知りたい情報は多岐にわたりますが、特に自分の症状や治療法、副作用などの基本的な医療情報に加えて、治療中の生活に関する注意点などを知りたいというニーズが見受けられました。しかし、実際にその情報を主治医に聞けたという回答は約60%に留まっており、主治医と良好な関係が築けていないと感じる患者においては、その割合が低下することも明らかになりました。
患者コミュニティの重要性
興味深いことに、生活の悩みに関する相談ができにくいと感じる患者層においては、医師の代わりに「患者や家族のコミュニティ」から情報を得たいという意向が強まりました。このようなコミュニティは、医療情報の共有や精神的な支えを提供するための新しい役割を果たす可能性を秘めています。
主治医への信頼度の変化
さらに、オンラインジャーニーシステムを利用し、患者の主治医に対する信頼度の変化を追跡したところ、3つのグループに分けられることが分かりました。「安定型」では一貫して信頼感が維持され、「ゆらぎ向上型」は継続的なコミュニケーションによって信頼が高まる傾向にあり、「変動型」では不信感が顕著に見られました。この結果は、信頼関係が一様ではなく、患者によって異なることを示しています。
課題と今後の展望
本調査の結果から、患者が主治医に対し自由に相談できる関係性を築くことが、信頼の形成や治療の継続において極めて重要であることが示されました。コミュニケーションの改善が、患者の満足度や安心感を向上させるための大きなカギとなるでしょう。患者が自らの不安を克服し、医師とより良い関係を築ける環境作りが今後求められています。
本調査の結果は、今後の医療提供の在り方に重要な示唆を与えるものであり、医療現場における情報提供の質を高めることが期待されます。