商船三井、台湾洋上風力発電所向けSOVの3隻目建造契約を締結 - アジアでのSOV事業展開加速
株式会社商船三井は、大統海運との合弁会社である大三商航運股份有限公司(TSSM社)を通じて、台湾洋上風力発電所向けに3隻目のService Operation Vessel(SOV)の建造契約を締結したと発表しました。本SOVは、2026年末の竣工を予定しており、姉妹船である「TSS CRUISER」と同じくメタノールレディな設計となっています。
今回の建造契約は、2022年に竣工したアジア初の新造SOV「TSS PIONEER」、そして昨年11月に建造が決定した「TSS CRUISER」に続くもので、TSSM社にとって3隻目のSOVとなります。3隻とも台湾籍となり、ベトナムの造船所で建造される予定です。
SOVは、洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣するために、多数の宿泊設備を持ち、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船です。洋上風車との距離を常時安全に保つため、ダイナミックポジショニングシステム(DPS)を搭載し、洋上風車のプラットフォーム上に風車技師を安全に渡すため、波等による船体動揺を吸収するモーション・コンペイセイション機能をもつ特殊なギャングウェイを搭載しています。
商船三井は、TSSM社を通じてSOVを建造することで、台湾の洋上風力事業の発展に貢献するとともに、アジアでのSOV事業展開を加速させていく方針です。
各社のコメント
商船三井 風力・オフショア事業群風力事業ユニット担当執行役員の杉山正幸氏は、「TSSM社として3隻目となるSOVの発注が出来、嬉しく思います。本SOVはTSSM社の台湾でのSOVプレイヤーとしての存在を圧倒的なものにすることに加え、更には商船三井の日本を含むアジア地域でのSOV事業展開の布石となることを確信しています」と述べています。
TSSM社の董事長である林 宏年氏は、「Damen CSOV9020の姉妹船を今回発注できたことを嬉しく思います。洋上風力発電建設に必要不可欠なSOVフリートの拡大を通じ、建設に役立つと共に、再生可能エネルギーの導入拡大を支援し、ネットゼロ社会・持続可能な地球環境の達成に寄与して参りたいと考えています」とコメントしています。
ダーメン社のCEOであるArnout Damen氏は、「昨年TSS CRUISERを当社に発注頂いた後からTSSM社とは関係を深めて参りました。この度同じCSOV9020デザインの姉妹船の発注を頂いたこと大変感謝しています。両SOVの存在はTSSM社のプレゼンスを台湾のみならずアジアでも大きく高めることに加え、当社とTSSM社の更なる関係発展に寄与するものと期待しています」と語っています。
商船三井の洋上風力発電関連事業
商船三井は、環境保全など刻々と変化する社会のニーズに応えるため、海運を中心にさまざまな社会インフラ事業や技術・サービスを展開しています。環境保全に関しては、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を掲げ、温室効果ガス排出削減を推進するとともに、アンモニアや水素を始めとしたクリーンエネルギーのサプライチェーン構築に貢献しています。
商船三井は、洋上風力発電関連事業において、海運業やFSRU、FPSOなどの海洋事業で培った実績を活かし、バリューチェーン全体で幅広いサービスの提供に取り組んでいます。
大統海運について
大統海運は、台湾の海運会社で、商船三井と共同でTSSM社を設立しています。TSSM社は、台湾の洋上風力発電事業の成長に貢献するために、SOVの運航やメンテナンスなどのサービスを提供しています。
ダーメン社について
ダーメン社は、オランダを拠点とする造船会社で、世界各国に30以上の造船所・関連会社を有しています。オフショア船(SOV・CTV)、タグボート、フェリーなどの設計、建造、修繕を行っており、SOVの受注・建造実績を積んでいます。