サクセッションプランに関するサーベイ結果【2024年度】
サクセッションプランという言葉が、今や企業経営において重要なテーマとなっています。近年、コーポレートガバナンス改革や人的資本経営、そして時代の変化に伴う新たな要請が増加する中、後継者計画の策定と実施は一層の重要性を持つようになりました。
2024年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が行った「サクセッションプラン」に関するサーベイでは、日本企業の取り組み実態を明らかにすることを目的としました。本記事では、その調査結果から浮かび上がる経営上の課題および今後の展望について紹介します。
調査背景と目的
本調査の背景には、企業が直面する厳しい経営環境があります。特に、新型コロナウイルスの影響やグローバルな競争の激化により、経営人材のサクセッションの重要性が増しています。調査では、経営トップ(社長やCEO)をはじめとする経営人材の育成および選出基準に対する企業の実態を把握することを目的としました。
サーベイの実施概要
サーベイは東証プライム上場企業およびプライム以外の売上高500億円以上の企業を対象に実施され、94社から有効な回答を得ました。特にプライム市場上場企業からは66社が参加しました。その結果、企業がどのようにサクセッションプランに取り組んでいるのか、そしてその背後にある課題について明らかになりました。
調査結果のポイント
1.
人材要件の設定が急務
調査の結果、社長候補者の選出や育成に際して人材要件を設定している企業は約6割に達しました。人材要件が具体的に定義されることで、候補者の選定や育成が進む傾向が見られます。
2.
社外人材の候補化
社長ポジションで社外人材を候補に考える企業は26%、経営陣の幹部ポジションでは50%でした。社外人材を後継者候補として考える傾向が強まっていることが分かります。
3.
女性役員の拡充
女性役員の選出には環境整備が必要とされており、67%の企業が働く環境や勤務条件の見直しを進めています。しかし、役員候補に女性を選出する取り組みはまだ10%強にとどまっており、更なる改善が求められます。
4.
指名委員会の課題
指名委員会においては、社外取締役との情報共有が課題として挙げられ、60%の企業がその不足を認識しています。透明性の高い判断基準が求められる中で、社外取締役と適切な情報共有を行うことが重要です。
結論
今回のサーベイ結果から、日本企業におけるサクセッションプランの現状と課題が浮き彫りになりました。企業はロングタームの視点を持ち、後継者計画に取り組むことが求められています。今後はさらに多様な人材の育成と環境整備が期待され、経営の持続可能性を高めるための施策が必要不可欠です。
今後もサクセッションプランについての取り組みを進め、経営者としてのリーダーシップを取り戻すことが重要です。企業が健全な社会的責任を果たしながら成長していくために、サクセッションに関する理解を深め、育成プランを具体的に実行することが求められます。