橋脚耐震補強工事を変える自動化ロボットの誕生
株式会社イクシスと株式会社鴻池組は、橋脚の耐震補強工事における表面処理作業の自動化を目指す建設ロボットの共同開発を発表しました。この技術は、作業員の負担を軽減し、作業の安全性を向上させることを目的としています。
背景と経緯
建設業界は現在、技能労働者の高齢化や人手不足といった深刻な問題に直面しています。また、多くの作業が危険を伴う環境で行われており、作業環境の改善が急務となっています。これらの課題を解決するために、業界全体での「構造物の長寿命化」、「生産性の向上」、さらには「安全性の確保」が求められています。
そのため、建設ロボット技術の開発が進められ、特に橋脚のRC巻立てによる耐震補強工事に焦点を当てることが決まりました。この工事における表面処理工法のひとつであるバキュームブラスト工法を自動化することが、新たな方向性として選ばれました。
開発したロボットの概要
今回開発されたロボットは、橋脚を持ち上げる昇降ユニットと、表面処理を行うブラストガンが装備された研掃ユニットから構成されています。
昇降ユニットは内蔵されたエアシリンダーによって伸縮し、橋脚に押し付けられた4つの車輪が自律的に動くことで、橋脚を50~100mm/sのスピードで移動します。また、万が一電源や空圧が失われた場合でも、安全装置が作動し、ロボットが落下することはありません。
一方、研掃ユニットに装備されているブラストガンは、大きくなったことで約2倍の研掃能力を発揮します。このブラストガンは走行レールに沿って横方向へ移動し、橋脚表面に密着して効率的に研掃が行えます。ツーノズルハンドブラストマシンを使用して、二つのユニットを搭載することで2面同時の研掃が実現します。このロボットにより、作業者数を減らし、品質を安定させ、粉じんの飛散を防ぎ、高所作業の危険を排除するなど、数々の利点がもたらされます。
今後の展望
この技術はRC橋脚の表面処理に限らず、塗膜除去や点検、調査などさまざまなインフラ整備の場面で利用されることが期待されます。今後はこの技術の現場での適用を進めるとともに、更なる用途の開発にも注力していく方針です。
公開試験の実施
最近、鴻池組の岸和田機材センターにおいて、RC橋脚を模した実物大試験体を使用した公開試験が行われました。この試験には、国土交通省や道路事業者の約60名が参加し、ロボットの動作を見学しました。参加者からのフィードバックをもとに、さらなる課題解決を目指して社会実装の準備を進めていきます。
会社の理念
「ロボット×テクノロジーで社会を守る」というミッションのもと、当社はロボット、AI、XR、そして3Dデータソリューションを融合させ、社会・産業インフラ業界のデジタルトランスフォーメーションを支援し、社会問題の解決を目指しています。