教職員アンケートで見つけた校内研究の現状と課題
教職員による校内研究について、近年の取り組みやそこから得られた意見を紹介します。2022年に実施されたSchool Voice Projectの調査結果が半年ほど前に発表され、教職員は校内研究が良い学びの場と感じている部分もあれば、一方で負担感をも抱えていることもわかりました。
アンケートの概要
2025年2月28日から3月31日まで行われた調査では、全国の小中高一条校に勤務する教職員が対象となり、回答は50件集まりました。アンケートの内容は以下の通りです。
- - Q1: 勤務校で研究した教科やテーマ
- - Q2: 校内研究の良かった点
- - Q3: 課題に思っている点
- - Q4: 校内研究が良い機会だと思っているか
結果概要
Q1: 研究した教科やテーマ
さまざまなテーマが挙がっている中、教職員たちがどのような点に注力しているかが見えました。
Q2: 校内研究の良かった点
全体の44%の回答者が「知識・見識がアップデートされた」と答え、最も高い割合を示しました。また、指導力が向上したと感じている教職員も34%に達し、前回調査からその数は増加しています。逆に、悩みを共有できたと感じる割合は減少し、31%から18%に落ち込みました。
Q3: 課題に感じる点
回答者の約半数が「勤務時間内に研究や準備が終わらない」「準備負担が大きい」「学びたいテーマではないことが多い」といった課題を選びました。校種別に見ると、小学校では「勤務時間内に研究が終わらない」、中学校では「児童生徒の学びに寄与していない」、そして高等学校では「興味のないテーマが多い」という結果が目立ちました。
Q4: 良い学びの機会だと感じるか
「良い学びの機会だ」と感じているのは40%にとどまり、逆に「そう思わない」と感じているのが42%となり、意見は拮抗しています。この結果は、校内研究が形骸化しているとする意見や、教職員が主体性を持たないとする厳しい声を反映しています。
まとめ
教職員による校内研究の調査結果は、知識向上や授業力向上などのメリットが実証された一方、時間やテーマへの不満が強く出ています。前回の調査と同様に、課題が残る現実が伺えます。これを受けて、革新的な研修方法を模索したり、テーマ選定の在り方を問う声が高まる中、教員がより主体的に参加する姿勢が求められています。また、新たな取り組みとして、一部の自治体では自主参加型の研究方法への転換も進んでいます。教育現場の変革には、現場の声に基づく柔軟な対応が不可欠です。