苫小牧市とクラウドシエンが官民連携協定を締結
2025年11月20日、北海道苫小牧市と株式会社クラウドシエンが、地域課題の解決を目的とした官民連携に関する協定を締結しました。この協定は、行政と民間企業が対等な立場で協力する仕組みを構築し、「小さく始めて継続する」形で官民共創を進めることを目的としています。
協定の背景と意義
近年、全国的に官民共創の重要性が認識されていますが、多くの自治体では「企業とどう関係を築けばよいかわからない」や「提案を受け入れる体制ができていない」といった課題が残っています。苫小牧市も例外ではなく、地域資源の活用や人口減少対策を進める中で、民間の専門知識を活用したいというニーズが高まっています。
このような背景を受けて、クラウドシエンが提供する「ローカルハブ」を導入することで、市職員が自身の課題を“相談ベース”で発信し、企業や大学との対話を通じて共創を進める環境を整えることを目指しています。
協定の内容
本協定は、次の3つの柱で構成されています。
1.
官民共創ワークショップの共同実施
職員が民間視点を学び、共創の第一歩を踏み出すために「ローカルハブ式官民共創ワークショップ」を開催します。
2.
課題の可視化と発信
市庁内で整理された課題を「ローカルハブ」に掲載し、企業からの「興味がある」通知や提案を受けることで、実際の対話を促進します。
3.
共創プロジェクトの実施と検証
得られた提案を基に実証実験を行い、その成果を市内外に報告しながら地域の課題解決を進め、自治体の共創ノウハウを蓄積します。
ワークショップの実施
協定締結と同日に行われたワークショップでは、佐々木氏が全国の自治体での成功事例を基に、共通する3つのポイントを紹介しました。各参加者は自身の課題を具体化し、企業が提案をしたくなる形に言語化するための演習も行いました。これにより、参加者は「なぜ課題が生まれているのか」「その解決が企業の収益につながるか」を考える時間となりました。
苫小牧市の見解
苫小牧市は、増加する行政の課題に対して、民間企業のアイデアや実行力を取り入れるための仕組み作りに挑んでいます。市長の金澤氏は、「今回の協定は、官民がフラットに話し合う場を持つための大きな一歩」と語り、製造業や観光業など、多様な産業資源をつなぐことの重要性を強調しました。今後、庁内で「課題を開く」文化を育み、職員が自発的に課題を発信できる体制を築いていく考えです。
クラウドシエンの視点
クラウドシエンの代表、神原氏も発言し、「苫小牧市のように、行政が課題を開く姿勢を持つ自治体はまだ多くない」とし、ローカルハブモデルの重要性を強調しました。この協定を通じて、苫小牧市から全国へ新たな官民連携モデルを発信できると確信していると述べました。
ローカルハブとは
ローカルハブは、地域の課題を外部に相談するための公民共創プラットフォームで、2025年10月時点で25,000社の企業が登録、120団体の自治体が参加しています。利用した自治体では平均商談率58%、事業化率38%と高い成果を上げています。自治体は完全無料で多様な機能を利用でき、課題の整理や提案の受け入れを円滑に行える環境が整っています。
「ローカルハブ」を通じて、行政が自ら課題を発信し、企業との対話を促進する仕組みを提供します。これからもキーワードは「公民共創」であり、職員が小さく始められる実践をサポートしていきます。
結論
苫小牧市とクラウドシエンの協定締結は、地域課題解決に向けた新たな一歩といえるでしょう。今後の展開が注目されます。