NPO法人クリーンオーシャンアンサンブルが新たに立ち上げた調査チームが、海洋ごみ問題に対する取り組みの一環として科学的データに基づいたコラムを発表しました。特に注目すべきは、海洋中のプラスチックペレット汚染についてのもので、これは製造段階から存在する一次プラスチックの一種です。工場や輸送過程で漏出することが多く、環境中に深刻な影響を及ぼしています。他の海洋ごみとの併発も多く、国際的な規制が未整備なため、問題は拡大の一途をたどっています。
新たに発足した調査チームのリーダーは、大手化学メーカーの研究員でもある石山翔午氏であり、その下で香川大学の中特命助教が監修を行います。この連携を通じて、現場で収集したデータを基に具体的な知見を整備し、今後の論文やコラムに発展させる計画です。2025年度中には1本の学術論文と3本のコラムを公開予定です。
プラスチックペレットの実態
今回発表されたコラムでは、まずプラスチックペレットの流出の現状について詳述されています。たとえば、欧州連合(EU)では年間約5700万トンのプラスチックペレットが製造され、その中の約18.4万トンが流出していると推定されています。主な流出原因は、工場からの漏出や輸送中の事故です。驚くことに、単一の工場からは年間300万から3600万個のペレットが流失しているとの報告も存在します。
この深刻な状況を受けて、EUではプラスチックペレット汚染を防止するための包括的な規制案が提示されました。この規制案が実施されれば、ペレットの流出を最大で74%削減できる見込みがあります。これにより、環境や生物へのリスクの軽減も期待されています。また、調査チームは特に「流出後の回収」に力を入れており、この取り組みの重要性についても強調しています。
目的と期待
この調査チームの主な目的は、集めたデータを科学的に分析し、その結果を社会に広め、政策立案や議論に役立てることです。過去には、ビーチクリーン活動や海洋ごみ回収装置の開発に力を入れてきた同団体ですが、今回の調査チーム発足により、より科学的根拠に基づく活動が期待されています。
石山氏は、「海洋ごみの問題に関しては、他の団体との連携にも力を入れていきたい」とコメントしています。また、中國特命助教は「市民団体と研究機関の連携が、環境問題の解決において重要である」と語り、成果が望まれています。
今後の展望
今後、調査チームは継続的にデータ収集や研究を進めるとともに、その成果を社会へ発信していくことが求められます。特に、海洋ごみ問題に関するコラムや論文が、環境保護の政策立案や企業のCSR活動にも寄与することが期待されています。
クリーンオーシャンアンサンブルは、これらの取り組みを通じて、実効性のある改善策を模索しつつ、海洋環境の保全に寄与していくことを目指しています。今後の活動から目が離せません。