両生類のオンライン取引に関する最近の調査
2024年12月5日、公益財団法人WWFジャパン(以下、WWF)が、日本のオンラインプラットフォームにおける両生類の取引状況を調査したレポートを発表しました。「両生類のスナップショット分析から考えるペット利用される野生生物のオンライン取引の課題~問われるプラットフォームの責任~」という題名のこのレポートは、絶滅の危機に瀕する両生類がインターネット上でどのように取引されているのか、その実態を明らかにしています。
調査の背景
近年、オンラインでの野生生物取引が増加する中で、特に絶滅の危機にある生物の取引が懸念されています。調査は、2024年8月に楽天市場とYahoo!ショッピングという二つのプラットフォームを対象に、両生類の生体取引の実態を分析しました。
調査結果の概要
調査結果によると、分析された両生類の出品数はそれぞれ1000頭以上に上り、その中には絶滅危惧種や捕獲が脅威となっている種が多数含まれていることが判明しました。また、出品されていた種の一部は、環境省レッドリストでも確認される「近危急種」として認識されています。特に、在来種のうち約36%が近危急種であることも指摘されており、この問題はさらに深刻さを増しています。
一方で、取引の透明性に関する問題も浮き彫りになりました。585件の出品のうち、約40%にはその由来情報(例えば、野生で捕獲されたのか飼育下で繁殖されたのか)や捕獲地情報が欠如しており、これによって生態系や地域への影響を把握することができませんでした。特に、在来種の出品174件のうち63%がこれらの情報が記載されていなかった点は、深刻な問題として認識されています。
オンライン取引の影響
オンライン取引の急増は、両生類の捕獲圧を高める要因となっています。手軽さから需要は高まっているものの、その結果として捕獲が進むことで、対象となる種や生態系全体に深刻な影響を与える可能性があります。このような状況において、プラットフォームを運営する企業が果たすべき責任は大きく、今後は取引の透明性を高め、法律を遵守した取引の確保が求められます。
専門家の見解
WWFジャパンのプログラムオフィサーである柴田有理氏は、「オンラインプラットフォームは、社会にとって重要なインフラであり、その企業の責任もまた重くなってきている。オンライン取引が持つ影響力を正しく認識し、対策を強化していくことが不可欠だ」と述べています。今後、各プラットフォームでの検討が進み、野生動物や生態系に配慮した取引が実現されることが望まれます。
結論
WWFジャパンの調査は、両生類のオンライン取引についての新たな視点を提供し、取引の透明性やプラットフォームの責任について再考を促すものです。絶滅危惧種を守るために、消費者や事業者が意識を高めていく必要があります。レポートの詳細は以下のリンクから確認できます。