STマイクロエレクトロニクス、組み込みAI開発を加速させる「ST Edge AI Suite」提供開始
世界的な半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスは、組み込みAI開発をよりシンプルで迅速にする包括的なソフトウェア&ツール統合セット「ST Edge AI Suite」の提供を開始しました。このツールセットは、組み込みAIアプリケーションの開発と実装を簡略化するソフトウェアとツールを統合し、データ収集から最終的なハードウェア実装まで、機械学習アルゴリズムの最適化と実装の両方をサポートします。
幅広い製品に対応、開発ワークフローを最適化
「ST Edge AI Suite」は、スマートセンサ、マイクロコントローラ(マイコン)、マイクロプロセッサなど、STの幅広い製品に対応する開発ツールを提供します。さらに、今後発表される予定のAIアクセラレータ搭載マイコン「STM32N6シリーズ」にも対応する予定です。
STのエグゼクティブ・バイスプレジデント、最高イノベーション責任者兼システム・リサーチ&アプリケーション ジェネラル・マネージャのAlessandro Cremonesi氏は、「ST Edge AI Suiteは、組み込みAI開発の新たな起点として、STのウェブサイトから利用することができます。このツールセットは、モデルやデータソース選択の簡略化、迅速かつ簡単なツール選択、最適化とベンチマーキング、コードとライブラリの自動生成といった機能を提供し、よりシンプルな開発を実現します。」とコメントしています。
多様なユーザのニーズに対応
「ST Edge AI Suite」は、複数のハードウェアプラットフォームで動作するため、データサイエンティスト、組み込みソフトウェア開発者、ハードウェアシステムエンジニアなど、さまざまなユーザのニーズに対応します。
また、各種オンラインツール(ST Edge AI Model Zoo、ST Edge AI Developer Cloudなど)に加え、任意のハードウェアプラットフォームにおけるデータチューニングやモデル最適化用のデスクトップツールにもシームレスにアクセス可能です。これらのツールには、機械学習ライブラリ自動生成ツール「NanoEdge AI Studio」や、STM32製品、MEMS慣性センサ、車載用マイコン「Stellar」に対応するSTM32Cube.AI、MEMS Studio、Stellar Studioなどが含まれ、いずれも無償で利用可能です。
革新的機能を追加、開発を加速
「ST Edge AI Suite」の発表に伴い、MEMS Studioには、AIアプリケーション向けの世界初の革新的技術である「ISPU NNモデル・オプティマイザ」および「MLC特徴量とフィルタの自動選択」機能が追加されました。これらの機能は、センサデータの処理と分析をより効率的に行うことを可能にします。
顧客採用事例
「ST Edge AI Suite」に含まれるMEMS StudioやStellar Studioは、組み込みAI開発の加速と簡略化に貢献しており、すでにHoneywell社、SOXAI社、HPE Group社など、さまざまな企業で採用されています。
Honeywell Fire社のファームウェア・アーキテクト兼組み込みシステム・エンジニアであるIsrael Herrera氏は、「ST Edge AI Suiteで提供されるMEMS Studioは、STのさまざまなMEMSセンサモジュールを使用して短期間でテストを実施できる優れたソフトウェア開発ツールであることが実証されています。コード生成機能を利用してPoC(実証実験)を簡単に実現できました。」とコメントしています。
STのエッジAIセンサを採用したSOXAI社の代表取締役社長兼創業者である渡邉達彦氏は、「ST Edge AI Suiteで提供される機械学習コア用ソフトウェアツールのおかげで、この新技術を迅速に組み込むことができ、最小限の労力でセンサの性能を最大限に活用できました。」とコメントしています。
HPE Group社の最高経営責任者(CEO)であるAndrea Bozzoli氏は、「HPEはSTと協力し、ST Edge AI Suiteに含まれるStellarマイコンとStellar Studioソフトウェアを活用することで、自動車業界の変革をリードしています。」とコメントしています。
「ST Edge AI Suite」は、STのウェブサイトからご利用いただけます。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、50,000名以上の従業員を擁し、包括的なサプライチェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、2027年までのカーボンニュートラル(スコープ1、2、および3の一部)の実現を目標にしています。