光触媒技術による鳥インフルエンザウイルスの不活化
大阪を拠点とするベンチャー企業、カルテック株式会社は、東京大学と連携し、高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAI)を光触媒技術で不活化する実証に成功しました。この研究は、養鶏場でのインフルエンザウイルスの抑制を目的としたものです。
背景
近年、高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が広がり、全国の養鶏場では大量の家禽が殺処分される事態が発生しています。この状況を背景に、カルテックは光触媒技術を駆使し、ウイルスを効果的に不活化する装置の開発を進めてきました。これは、家禽肉や卵の供給安定を図るための重要な取り組みです。
実証実験に関する詳細
実験においては、光触媒をコーティングしたガラスシートにウイルス液を滴下し、励起光を照射した場合と、コーティングしていないシートで暗所に置いた場合を比較しました。
実験の結果
実際のテストでは、1時間の光触媒反応によって、ウイルスの感染力価は2933プラーク形成単位(PFU)/500μlから273PFU/500μlに減少し、不活化率は90.7%に達しました。この結果は、光触媒技術が高病原性鳥インフルエンザウイルスに対して非常に高い効果を示すことを明確に証明しました。
研究者の見解
このプロジェクトを牽引する東京大学の間陽子特任教授は、「高病原性鳥インフルエンザウイルスは経済に深刻な影響を及ぼし、食の安全性を脅かしています。この研究を通じて、光触媒の不活化効果が証明されたことは、今後のHPAI対策の強化に寄与することを願っています」と述べています。
企業情報
カルテック株式会社は、光触媒除菌脱臭装置の開発を行いながら、新たな技術の研究を進めています。
この技術が広がることで、鳥インフルエンザの抑制だけでなく、より安全な食品供給につながることが期待されます。今後の展開に目が離せません。