使うほどに愛着が深まる工芸品の魅力と普段使いの意義

工芸品の魅力と普段使いの可能性

工芸品は陶磁器や木工品、ガラス工芸など多岐に渡るが、これらはただの装飾品ではなく、日常生活の中で大いに役立つ存在と捉えられている。株式会社uluコンサルタンツが実施した調査によると、20代から60代の約8割が「良いものを長く使いたい」と考えており、工芸品に対する強い関心が見える。一方で、壊れた際の手入れや修理への不安から、普段使いをためらう声も少なくない。

調査の背景

調査は2025年1月に実施され、1,030人が参加した。目的は工芸品に対する考え方や使い方、日常生活での取り入れ方に関する意識を探り、消費者のニーズを把握することである。

良いものを長く使いたい

調査の結果、消耗品以外のものについて、55.4%が「良いものを長く使いたい」と回答。また、22.4%は「壊れても修理して使いたい」と述べており、多くの人々が品質や耐久性を重視していることがわかる。特に『家具』や『時計』、さらには『衣類』にもこの傾向が見られる。やはり、一度購入したら長く使いたいという思いは強く、「安物買いの銭失い」を避けるための合理的な選択であり、詳細に見れば、しっかりとした選定基準を持つ消費者が存在する。

工芸品のイメージ

また、工芸品に対し多くの人が「歴史を感じる」（45.2%）や「手作りの温かみがある」（40.7%）というポジティブなイメージを持っている。一方で、『お手入れが大変そう』や『取り扱いに注意が必要』といった理由で工芸品の普段使いに消極的な意見も多く見受けられる。これらは実際、消費者の心理に影響を及ぼす重要な要素となっており、「触れ合いたくても触れ合えない」状況を生んでいる。

修理の認知と普段使いの可能性

調査では、約78.5%が工芸品が汚れたり壊れたりしてもお直しや修理ができることを知らないと答えている。実際には多くの工芸品は修理を通じて長く愛用できるが、その意識が非常に低いことが浮き彫りとなった。また、修理方法についても、知っている方はあまり多くなく、工芸品の普段使いを躊躇する理由ともなっている。

結論と今後の展望

工芸品を日常生活に取り入れることは、ただの消費行動ではなく、文化や歴史を享受する方法でもある。消費者が工芸品を特別な存在ととらえる一方で、手入れや修理への不安がその普及を妨げているのが現状だ。したがって、工芸品の修理を行うことで、より愛着を持って使えるようになることは重要だ。

「わたしの名品帖」は、こうした工芸品の魅力を広げ、消費者にとっての身近な存在にするための活動を続けている。今後、工芸品の修理に関する情報発信を強化することで、より多くの人々が日常生活に工芸品を取り入れることができるようになるだろう。これにより、職人の仕事も増えることが期待され、工芸の未来がさらに明るくなることが願われている。