大鵬薬品、quemliclustat開発権取得
2024-07-09 09:17:28

大鵬薬品、Arcus社のCD73阻害剤quemliclustatのアジアでの開発・販売権を取得

大鵬薬品、Arcus社のCD73阻害剤quemliclustatのアジアでの開発・販売権を取得



大鵬薬品工業株式会社は、Arcus Biosciences(アーカス・バイオサイエンシズ)社が開発中のCD73阻害剤(低分子化合物)quemliclustat (国際一般名、開発コード:AB680) について、日本とアジア(中国と一部の地域を除く)で独占的に開発・販売する権利を取得したことを発表しました。

これは、2017年9月に両社が締結したオプション契約に基づくもので、大鵬薬品によるオプション権の行使は今回が4回目となります。

大鵬薬品は今回のオプション権行使の対価として、オプションフィーに加え、臨床試験、承認、販売のマイルストーン達成に付随する支払いを行います。また、承認された場合には、Arcus社へ純売上高に対するロイヤリティを支払います。

quemliclustatとは?



quemliclustatは、CD73を阻害する低分子化合物です。CD73は腫瘍微小環境において免疫抑制性アデノシンを産生する主要な酵素であり、いくつかの癌種においてCD73高発現と予後不良が有意に関連しています。quemliclustatはアデノシンの産生を抑制すると考えられています。アデノシンの減少により免疫抑制作用が弱まると、抗腫瘍免疫細胞が再活性化し、腫瘍細胞死が促進することが期待されています。

開発の進捗



Arcus社は、前治療歴のない転移性膵管腺がん(mPDAC、metastatic pancreatic ductal adenocarcinoma)の患者さんを対象としたquemliclustat と化学療法併用と化学療法単独を比較する申請用のグローバル第Ⅲ相試験(PRISM-1試験)を2024年に開始予定です。第Ⅲ相試験への移行は、今年初めにAmerican Society of Clinical Oncology Gastrointestinal (ASCO-GI) Cancer Symposiumで発表された第Ⅰb相試験(ARC-8試験)で得られた全生存期間の結果に基づいています。

大鵬薬品は、本提携を通じて日本からPRISM-1試験に参加し、またquemliclustat の開発と商業化を加速させ、一日も早く革新的な新薬を患者さんと医療関係者にお届けできるよう尽力してまいります。

大鵬薬品とArcus社のこれまでの契約



2017年に大鵬薬品とArcus社が締結したオプションとライセンスに関する契約に基づき、大鵬薬品は日本とアジア(中国と一部地域を除く)において、以下の4つのプログラムを独占的に開発・販売する権利を得ました。

quemliclustat (CD73阻害剤)(2024年)
etrumadenant (アデノシン受容体阻害剤)(2018年)
zimberelimab (抗PD-1抗体)(2019年)
domvanalimabおよびAB308 (いずれも抗TIGIT抗体)(2021年)

その他の国、地域においては、Gilead社が米国での商業化およびArcus社との共同販促の権利を、米国以外ではGilead社が開発および商業化の独占的権利を有しています。

大鵬薬品について



大鵬薬品は、大塚ホールディングス株式会社の事業会社で、「私たちは人びとの健康を高め 満ち足りた笑顔あふれる 社会づくりに貢献します。」を企業理念とし、「がん」、「免疫関連疾患」の 2 領域に注力する研究開発型スペシャリティファーマです。特にがん領域においては、国内におけるリーディングカンパニーの一つとして知られており、グローバル化も積極的に推進しています。がん領域以外においても生活の質の向上に貢献できる製品を販売しています。また、コンシューマーヘルスケア事業でも生活者志向を第一に愛情豊かな暮らしを支える商品作りに注力しています。

Arcus社について



Arcus社は、がん患者さんのための差別化された分子薬や併用療法の臨床開発を進めているグローバルなバイオ製薬企業です。世界中の業界パートナー、患者さん、医師とのパートナーシップのもと、Arcus社は、明確な特徴を持つ生物学や経路に対するファーストもしくはベストインクラスの医薬品の開発を促進し、がん患者さんがより長く生きることが可能になるような、生物学に基づく新たな併用療法を研究しています。2015年に設立された同社は、これまでにTIGIT、PD-1、アデノシン軸(CD73とデュアルA2a/A2b)、HIF-2alfa、CD39、AXLを標的とする、複数の治験薬を臨床試験へと進めています。

まとめ



大鵬薬品のquemliclustatの開発・販売権取得は、同社のがん治療薬開発における更なる進展を示すものであり、今後の開発の進捗に注目が集まります。

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