特別養護老人ホームにおける生産性向上の取り組み
高齢者福祉施設「みさとの杜翔裕園」では、業務効率化と職員の負担軽減を実現するため、勤務時間の見直しと浴用リフトを導入しました。この取組は、特別養護老人ホームにおける介護の質を向上させるための新たなモデルケースとして注目されています。
背景
「みさとの杜翔裕園」では、入浴に関連する残業時間が月100時間を超える状況が続いており、介護職員の負担が大きな課題とされていました。従来のシフト制度では、早番と遅番の職員の重なる時間が限られていたため、効率的な入浴支援が難しい状況でした。
取り組み内容
勤務時間の見直し
この問題を解決するために行われたのが、勤務時間の調整です。早番を7:00~16:00に、遅番を12:00~21:00に変更し、職員の勤務時間が重なることで入浴支援のスムーズさが増しました。また、シフト自動作成ソフトを導入し、事前に配置人数を把握することで柔軟な運用が可能となりました。
浴用リフトの導入
さらに、各ユニットに浴用リフトを導入。これにより、特浴スペースまでの移動が不要となり、ユニット内での動線が短縮されました。具体的には、2階への移動時間が従来の5分から30秒に短縮され、物理的な負担が軽減されました。リフト浴によって入浴支援に必要な職員の数も増加し、より多くの利用者が入浴できるようになりました。
成果の測定
導入後、職員に対してアンケートを実施。身体的・精神的負担が軽減されたとのポジティブな意見が多く寄せられ、満足度も向上したことが確認されました。残業時間は、7月の48時間から8月には10時間15分、9月には1時間15分まで大幅に削減されました。発生した時間の余裕をもとに、職員のワークライフバランスの確立にも繋がる結果といえます。
課題と今後の展望
ただし、新たなシフト体制への不安や業務間の調整問題も依然として存在しています。業務運営のさらなる改善については、ICTやIoTの導入を活用することで、書類作成や管理を効率化し、職員が入浴支援以外の業務に集中できる環境を整備する必要があります。
まとめ
今回の取り組みでは、効率的な業務改善を目指す中で、身体的・精神的な負担軽減とご利用者の満足度向上という二つの成果が生まれました。今後はこのモデルを他の施設でも展開し、さらなる改善に向けた施策を進めていきたいと考えています。何よりも、安全で安心な入浴環境の提供を目指し、私たちの機関はこの道を歩み続けます。