青春小説『銀河の図書室』、全国コンクールの課題図書に選定
名取佐和子氏の新作『銀河の図書室』が、第71回「青少年読書感想文全国コンクール」高等学校の部の課題図書として選ばれることが発表されました。この作品は、高校生活を舞台に、宮沢賢治の言葉を手がかりに失踪した先輩の謎を追いかける若者たちの成長を描く感動的な長編小説です。
作品のあらすじ
物語の舞台は、県立野亜高校の図書室です。ここでは、「イーハトー部」という宮沢賢治に興味を持つ弱小同好会が活動しています。この部の部長だった風見先輩が、ある日突然学校から姿を消してしまいます。残された部員たちは、賢治が遺した言葉や詩、さらに未完の傑作『銀河鉄道の夜』を紐解きながら、先輩の失踪の理由を探り続けます。この過程で、高校生たちはそれぞれの「ほんとうの幸い」と向き合い、自分たちの生き方を見つめ直すことになります。
読者の声
図書館司書のE.Mさん(名古屋市守山図書館)は、この作品を読んだ感想として「くじけながらも、必死に前へ向かう高校生たちにとても感動しました」と述べています。また、T.Uさん(島根県立図書館)は、「図書館は過去の言葉を未来へ伝え、人と人を言葉でつなぐ場です。私も司書としてその役割を守りたい」と語ります。読み進めるごとに先入観が覆され、さまざまな思考を促される作品であることがうかがえます。
名取佐和子氏の想い
著者の名取佐和子さんは、本作について「イーハトー部の高校生たちは、学校図書館で本を通じて賢治さんとつながりながら、過酷な現実をどうにか乗り越えようとします。彼らの読書体験はまるで銀河鉄道の旅のようで、その終着駅まで一緒に行ければ嬉しいと考えています」と、深い思いを寄せています。
書籍情報
- - タイトル: 銀河の図書室
- - 刊行日: 2024年8月1日
- - 定価: 1,870円(税込)
- - 体裁: 四六判
- - 頁数: 320頁
詳細については、
こちらのリンクから確認できます。また、青少年読書感想文全国コンクールの公式サイトは
こちらです。
著者紹介
名取佐和子氏は兵庫県出身で、明治大学を卒業後、ゲーム会社に勤務した後に独立。その後、2010年に『交番の夜』で作家デビューを果たしました。著書には『ペンギン鉄道なくしもの係』や『金曜日の本屋さん』、さらに『図書室のはこぶね』などがあり、特に『図書室のはこぶね』は幅広い世代から愛され、多くの司書から推薦されています。
高校生たちが文の力を通して成長していく姿、そして宮沢賢治の作品がもたらす影響は、本作『銀河の図書室』を手に取る価値があります。是非、楽しみにしていてください。