「メディアコンテンツエンゲージメントスコア」の進化
株式会社電通は、メディアが提供するコンテンツが消費者に及ぼす影響を測るための新しい指標「メディアコンテンツエンゲージメントスコア」を発表しました。このスコアは、特にメディアコンテンツに対するユーザーの「熱中度」と購買検討プロセスとの関係を分析するためのツールとして機能します。
1. なぜエンゲージメントスコアが必要なのか?
広告やマーケティング活動において、伝えたいメッセージが消費者にどれだけ届いているのかを測るための基準が必要です。従来、到達率(リーチ)に重きを置くあまり、ユーザーの心理的要素に基づいた質的な評価が不十分でした。
このため、広告主にとってはどのコンテンツが効果的なのか判断しづらい問題がありました。今回の「エンゲージメントスコア」は、こうした状況を改善し、メディアの親和性を踏まえた評価を可能にするものです。
2. 機能強化のポイント
電通は今回の機能強化に向けて、東京50km圏内の4800人を対象にしたインターネット調査を行いました。この調査では、デジタルメディアを含む6種類のメディアにおける消費者の「熱中度」「習慣度」「信頼度」「広告記憶度」を測定しました。その結果をもとに、エンゲージメントスコアに以下のような機能強化が実現されました。
(1) 「熱中度」と購買検討プロセスの関連分析
メディアコンテンツの熱中度と広告記憶度の関係を研究し、購買行動につながる可能性のある熱中度の高いユーザー層を特定することができるようになりました。
(2) デジタルメディアの調査対象追加
従来のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、OOH(交通・屋外)に加え、デジタルメディアを調査対象に加えることで、対象メディアが6つに拡大しました。これにより、より多角的なデータ収集が可能となりました。
(3) ACR/exとの連携による広範な分析
ビデオリサーチの生活者データベース「ACR/ex」と連携し、データの詳細な分析が可能になりました。これにより、より広いマーケティング課題に対応できるようになり、広告主はメディアの特性や消費者の心的関係性を考慮した戦略を立てやすくなります。
3. 今後の展望
今回の機能強化によって、電通は医療や美容などさまざまな業界における広告出稿に対し、より効果的なプランニングをサポートできるようになります。
エンゲージメントスコアは、ただの到達率だけでなく、ユーザーの心理を理解し、より的確なコミュニケーションの実現を目指すものであり、今後の広告・マーケティング手法の高度化に寄与することが期待されます。
最後に、2024年7月5日から21日まで行われたこの調査は、現代のデジタルメディア環境において、ブランド理解と認知を広めるための新たな指標として注目されています。今後、エンゲージメントスコアの進化により、メディアを横断した統合的な広告戦略が実現されることでしょう。