岡山発の新技術
2021-11-04 11:00:09
岡山発の新技術で太陽光パネル廃棄問題を解決する熱分解装置の可能性
岡山発の画期的な太陽光パネル熱分解技術
日本で初めてとなる太陽光パネル熱分解装置が岡山で開発され、この技術が特許を取得しました。この装置は、廃棄された太陽光パネルを分解し、CO₂を排出せずにリサイクル可能な資源を抽出することができます。
技術の詳細
この新技術は、過熱蒸気を使用して行われます。具体的な処理の流れは以下の通りです。
1. 過熱蒸気発生装置から過熱水蒸気を熱分解処理炉に供給します。
2. 熱分解装置内で過熱水蒸気を充満させた後、廃棄の太陽光パネルを投入します。
3. その後、600度以上の高温で、過熱水蒸気によって太陽光パネルが加熱されます。
4. 太陽電池を覆う封止剤(EVA)やバックシートが揮発し、
5. 最終的に、ガラス、太陽電池(セル)、銅線などのリサイクル素材に分離されます。
廃棄問題の背景
太陽光パネルの耐用年数はおおよそ25~30年であり、この期間が経過することで劣化し、廃棄の必要が生じます。特に、日本では2012年に導入された固定価格買取制度(FIT)の終了を2015年に迎え、2032年には大量の廃棄パネルが発生する見込みです。その数は、2015年時点の2351トンから2040年には80万トンに達するとされています(環境省の推計)。
現在、日本ではほとんどの廃棄太陽光パネルが埋め立て処理されていますが、埋め立て処分場の容量が不足することで、今後さらなる深刻化が予想されます。
解決すべき課題
廃棄パネルの処理は現在も難航しています。現在の処理技術は、以下のような問題を抱えています。特に、封止剤(EVA)とガラスや太陽電池の密着により、それらの選別が行えないため、分離処理が必要です。また、封止剤が有機物であるため、燃焼処理を行うとCO₂が排出されてしまいます。
この課題を解決するのが、岡山の新技術である佐久本式処理技術です。これにより、封止剤を含む材料をCO₂排出ゼロで処理し、リサイクル率を大幅に向上させることが期待されています。
開発者の思い
開発者の佐久本社長は、「環境に良いと思って作られた太陽光パネルが、環境に悪い廃棄物を生み出してしまうなんて耐えられない。売りっぱなしではなく、製品の出口まで責任を持つべきだ」と強い意志を持っています。
今後の展開
現在、開発された装置はプロトタイプの段階で、処理能力が日量およそ15~20枚程度です。今後は、処理能力の拡大とコストの低減を目指し、より多くの廃棄パネルを処理できる日量50枚程度の装置設計が完了しています。
さらに、この新しい装置を製造するパートナーや、装置を導入する産業廃棄物処理業者の募集を行っています。これに関する説明会が11月17日、岡山国際交流センターで開催され、全国向けのウェビナーも11月30日に実施予定です。
未来に向けて、岡山の技術が太陽光パネルの廃棄問題を解決する大きな一歩となることが期待されています。
会社情報
- 会社名
-
中島PR
- 住所
- 神戸市東灘区深江北町2-2-28
- 電話番号
-
090-7552-1599