リテール市況2024
2025-02-25 11:17:15

2024年第4四半期のリテール市況:都心商業の賃料上昇と売買意欲の回復

2024年第4四半期のリテール市況:都心商業施設の賃料と売買動向の変化



グローバル不動産サービスコンサルタント、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が発表した2024年第4四半期のリテール市況レポートは、現在の市場動向に関する重要な洞察を提供しています。特に、都心の商業施設における賃料の上昇と売買意欲の回復が顕著です。これにより、ラグジュアリーブランドの新たな出店機会が生まれています。

経済状況の変化


経済の面では、2024年第4四半期の実質GDPが前年同期比で1.0%の成長を示しています。特に、定額減税の影響が民間消費にプラスの効果を与えていると言われています。しかし、コアCPIは依然として高水準(+3.0%)を維持しており、物価が上昇する中でも消費者の収入はわずかに改善しています。特に若年層の消費意欲が高く、29歳以下の消費者態度指数は40.9を記録しました。

しかし、実質賃金の上昇は限定的であり、特に高齢層の消費が全体の大部分を占めているため、消費者全体の生活防衛意識はさらに強まっています。このような状況を考慮すると、今後の消費環境には慎重な対応が求められます。

需給バランスと販売動向


全国の小売販売高は前年同期比で2.6%増加していますが、コア消費者物価指数の上昇を考慮すると実質的には微減に近い数字です。特に、ドラッグストアが6.7%の増加を示した一方で、コンビニエンス・ストアやホームセンターは伸び悩む結果となりました。都心においては商業施設の空室率が大幅に改善しており、人流の回復を背景に、特に表参道や銀座のTier 1エリアでは空室率が1%未満にまで減少しています。

新規供給の動きとして、複合型施設の開業が目立っています。例えば、長崎スタジアムシティやBASEGATE横浜関内では大型の開発が進行中であり、これらは地域経済に大きな影響を与えることでしょう。

賃料の動向


2024年第4四半期におけるプライムエリアの賃料上昇は、特にラグジュアリーブランドの出店意欲によるものです。昨年同時期と比較して、京都の賃料は50%上昇し、坪単価は15万円となりました。名古屋でも出店が進む中、プライム賃料のさらなる上昇が予想されます。

一方、郊外の店舗では賃料負担が継続的に厳しく、現状維持が続いています。このような地域間の格差が、今後の不動産市場にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。

出店動向と市場の回復


ユニクロやNike、アスレジャー系ブランドの出店が目立つ中、特に訪日客需要に応じた店舗の拡大が見られます。また、プライムエリアにおいてラグジュアリーブランドの出店比率が上昇しており、新たな店舗形態の取得を検討する動きも活発です。これに伴い、不動産投資家の意欲も増していることが示唆されています。2024年の売買取引は前年比53.7%増と高水準に達しています。

今後の展望


都心の商業施設の賃料が再度上昇し、地方都市でも大型開発が進む見通しが立っています。これにより、各地域での購買行動や市場の活性化が期待されます。また、リアルタイムデータの活用によるマーケティング戦略が重要になるでしょう。特に新しいテナントミックスの見直しは、顧客のニーズに応えるための重要な施策です。今後の市場動向を見守ることが必要です。


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