東京都23区の再販マンション市場の現状
最近の東京都23区における再販マンション市場は、さまざまな変化を見せています。中古マンション買取再販業界は熾烈な競争で知られていますが、最近の調査では買取マンションの供給が減少していることが明らかになっています。マンションリサーチ株式会社による2021年1月から2024年12月までの集計によれば、50㎡以上の再販マンション供給数は縮小傾向にあり、反発の兆しを見せています。
再販市場全体の動向
調査の結果、全体で見れば再販マンションの価格は高騰する一方で、中古マンション市場全体における相対的な供給数は減少しています。特に、売主会社の数が減少し市場から撤退する業者が増加しています。この現象は、仕入れに対するより慎重な姿勢が影響していると考えられます。また、2005年以降に築かれた湾岸エリアのタワーマンションなどの高級マンションが増加していることも特徴的です。
買取マンション供給の縮小理由
1.1 縮小する買取マンション供給
東京都の50㎡以上の中古マンションの売出数に対する再販マンションの割合を見てみると、2023年3Qをピークに新規売出数が次第に減少していることが分かります。2024年4Qには2022年1Qの水準まで落ち込みました。
1.2 高騰する再販マンション価格
成約坪単価の推移をみると、東京都23区の再販マンションは依然として高騰を続けており、その理由は市場全体の価格上昇と仕入れ価格の上昇に起因しています。しかし、出口価格は消費者の需要によるため、仕入れ側は慎重な判断を強いられることになります。このため、供給が減少する要因となっています。
1.3 撤退するプレイヤー
2021年から2023年には売主会社の数が50%増加しましたが、2023年から2024年には21%も減少しました。これは、買取マンションの供給減少による影響です。市場の変化により、現行のプレイヤーも慎重な姿勢を強いられているのです。
築年の浅い再販マンションの優勢
近年の市場動向では、2005年以降に築かれた再販マンションが供給数を増やしていることが確認されています。特に、富裕層向けの物件が活発に取引されており、邸宅の購入が増加しています。このことから、中古マンション市場が二極化している様子が伺えます。
結論
東京都23区の再販マンション市場は、供給が減少する一方で、新興の築浅物件が注目を浴びています。高騰する価格や減少するプレイヤーが見せる新たな動きは、市場における不安定要因の一部でもあるといえるでしょう。今後の市場動向に注目です。
筆者プロフィール
- マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
- 代表研究員として経済データや不動産市場の調査を行い、各種メディアや学術機関にも情報を提供しています。