AI海況予測モデル
2025-09-17 16:12:11

高精度海況予測モデルを用いたAI技術の新たな展開

高精度海況予測モデルを用いたAI技術の新たな展開



2025年4月、オーストリア・ウィーンで開催された「European Geosciences Union 2025」において、古野電気株式会社と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は共同研究の成果を発表しました。テーマは「データ駆動型のマルチスケールグラフニューラルネットワークを用いた10日間の全球海況予測モデル」。この研究は、AI技術の進化が海洋予測に与える影響の重要性を示唆するものです。

研究の背景



海況予測、つまり「海の天気予報」は、AI技術によってこれまでの予測手法を大きく変えようとしています。従来の気象予測手法が進化を見せる中、海洋予測は特有の複雑性を持ち、未解決の課題が多く存在します。古野電気は「みえないものをみる」というビジョンの下、深層学習などのAI技術と組み合わせた新たなソリューションを提供してきました。

JAMSTECとの連携により、先端的な予測モデルの開発が進められ、従来の技術では実現困難だった高精度な海況予測が可能となることが期待されています。

研究内容



古野電気の技術研究所が行ったこの共同行動では、10日間の海況予測モデルの開発が目指されました。これまでのAI海況予測は、データを格子状に加工することが主流でしたが、新たに導入されたグラフ状のニューラルネットワークは、地球の球面形状の表現により優れた精度を実現しました。これにより、海水温や流れを精緻に再現することが可能となり、従来難しかった詳細な構造の把握が実現しました。

特筆すべきは、二段階のスケールのニューラルネットワークを用いることで、グローバルな情報とローカル情報を同時に処理できる点です。さらに、気象データを組み込むことで、現実に近い海洋の変化を捉えることに成功しています。この研究は、データ駆動型の海況予測技術の向上に寄与し、将来的には海洋環境の詳細かつ長期的な予測への基盤を築くものです。

研究者のコメント



研究のリードを務める古野電気の技術研究所の木村考伸は、『海洋予測の高度化は漁業や運航管理に役立つだけでなく、気候変動への対策や資源管理といったグローバルな問題解決にも寄与する重要なステップです。』と述べています。また、『当社のデータと技術にJAMSTECの専門性を加えることで、新たな可能性が広がった』とも語っています。

これからも官民学の連携を強化し、持続可能で先進的な海洋社会の実現に向けた取り組みを進めていく意向を示しています。

受賞歴



本発表は、AI技術を用いた新たな海況予測の可能性を示し、今後の海洋研究における道を切り開くものでしょう。これにより、海洋データの解析技術とAI技術の融合が、海洋科学の未来に向けた新たな展望を提供することが期待されています。

古野電気は1948年に世界初の魚群探知機を開発し、以来、舶用電子機器の分野で革新を進めています。世界で90カ国以上への展開を行い、そのブランドは確かなものとなっています。


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会社情報

会社名
古野電気株式会社
住所
兵庫県西宮市芦原町9-52
電話番号
0798-65-2111

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