西﨑伸彦氏の受賞作『バブル兄弟』の魅力
2023年、文藝春秋から刊行された西﨑伸彦氏の著作『バブル兄弟“五輪を喰った兄” 高橋治之と “長銀を潰した弟” 高橋治則』が、第56回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しました。この作品は、バブル時代における日本の社会の象徴として挙げられる2人の兄弟のストーリーを扱っています。
受賞の背景
受賞に際し、西﨑さんは「バブル期を象徴する実業家だった弟とスポーツビジネス界の第一人者だった兄。2人はいかにして成功を手にし、躓いたのか」と述べ、その取材の難しさを語っています。彼が明らかにする人脈の複雑さと、それに対する感謝の意を示したコメントは、読者にさらなる興味を引き起こします。
大宅壮一ノンフィクション賞とは
この賞は、ジャーナリスト・大宅壮一氏の業績を記念して1970年に制定されたもので、「ノンフィクション分野における芥川賞」とも称されます。ノンフィクション作品全般を対象とし、受賞者には100万円に加え、副賞が贈与されます。選考委員による慎重な審査が行われ、その成果は『文藝春秋』にて発表されます。
作品のテーマ
『バブル兄弟』は、兄弟がそれぞれ異なる道を歩みながらも、いかにして成功と挫折を経験したかを描いています。高橋治之氏は、佐野市で生まれ育ち、巨額の利益を生むスポーツイベントを創出した一方、高橋治則氏は、長銀の破綻という暗い歴史を背負っています。この2人の生涯を通じて、昭和という時代の日本が抱えていた矛盾や狂乱の様子が浮き彫りにされます。
兄弟の人生を辿る
本書では、兄弟のバックグラウンドも深く掘り下げています。彼らは裕福な家庭に生まれ、名門校を卒業したエリートですが、次第にその地位を失っていく経緯は衝撃的です。特に、高橋治之氏の2022年の逮捕は多くの人々に強烈な印象を与え、同様の事件が30年前にもあったことから、時代の反復を感じさせます。
深い取材力と王道のノンフィクション
本作は、歴史的な背景や豊富な取材を基にしており、作者の取材力が際立っています。高橋治之氏との直接のインタビューも実現し、彼の肉声を通じて疑問を投げかけ、深い洞察を提供しています。
リリースと書誌情報
この傑作ノンフィクションは、2025年1月9日に発売予定で、定価は2,310円(税込)です。書誌情報も公開されており、ISBNは978-4-16-391933-1です。既に読者からの期待は高まっており、書店での予約も好評です。
結び
『バブル兄弟』は、単なるノンフィクション書を超え、日本のバブル時代に対する新しい視点を提供しています。兄弟の人生を深く掘り下げることで、多くの人々が忘れかけていた歴史を再考するきっかけとなるでしょう。ぜひ、発売を楽しみにしてください。