管理職の成長と努力の実態、課題はどこにあるのか?
ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が2024年に実施した「管理職意識調査」に基づき、管理職が抱える課題や成長のためにどのような努力をしているのかを探ります。調査の対象は、管理職向け研修を受講した415名で、結果には新任、ベテラン、幹部候補の3つのステージにおける課題認識が含まれています。
調査の背景
近年、ビジネス環境は急速に変化しており、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方の多様化が進行しています。こうした影響を受け、管理職の業務もますます複雑化しており、約8割の管理職が過去10年と比べて求められることの変化を感じています。
調査結果の概要
- - 課題感を抱えている割合は、新任管理職が79.1%、ベテラン管理職が64.7%、幹部候補が53.0%と、ステージが下がるほど課題を多く感じていることが明らかに。
- - 新任管理職は特に観察力や聞く力の強化に取り組む一方、幹部候補は経営方針への理解を重視。
各ステージの管理職が直面する課題
1. 新任管理職
新任管理職(1~3年目)の場合、観察力や聞く力を強化することが必要とされています。この層では、部下の能力を見極める能力が特に重視されています。自らの成長のために、周囲からの助言を求めることが多く、54.5%が具体的に周囲に尋ねると回答しています。
2. ベテラン管理職
4年以上の経験を持つベテラン管理職では、部下の強みや弱みを知る努力が顕著です。彼らは、ネットメディアや書籍を通じて新たな知識やスキルを求め、俯瞰した視点を持つことを重視しています。特に、情報収集を通じた自己改善が求められています。
3. 幹部候補
幹部候補層は他の二つの層に比べ、課題を感じる機会は少なく、部下への理解を深める意識が薄い傾向があります。しかし、経営方針の理解や新しい取り組みへの挑戦を通じて、自ら変化に対応しようとする努力が顕著に見られます。
会社からの支援とその効果
調査では、管理職の成長を支えるための会社からの支援も重要視されています。新任管理職は、上司とのコミュニケーション機会や自己学習の場を求める傾向が強く、特にコミュニケーションの重要性が浮き彫りになりました。ベテラン管理職には、職場文化が影響を及ぼしていることが示唆されます。幹部候補も同様に、自己成長を促すためには、上司との定期的な面談や交流が評価されています。
まとめ
今調査の結果からは、管理職の各ステージが抱える課題が非常に明確になりました。特に、新任管理職が抱える課題は数量的にも、質的にも高いことが示されています。研修や支援の必要性はますます高まっており、企業は管理職の成長を戦略的に支援することが求められています。これには、経営とも密にリンクしたプログラムや、公式なコミュニケーションの場を設けることが必要です。成長機会を促すことは、組織全体の向上にも繋がります。これからの時代、管理職に求められるスキルや知識は多様化し続けるため、各自が常に学び続ける姿勢が重要になります。