舶用機器の未来
2022-08-04 16:22:29
ナブテスコと東京計器が共同開発、舶用機器における自律運航技術推進へ
新たな時代の舶用機器開発
地球温暖化の影響が深刻化する中、CO2排出削減は国際的な課題となり、船舶業界においても規制が強化されています。特に、2023年から適用される「既存船燃費規制(EEXI)」や「燃費実績(CII)格付制度」は、大型外航船の運用において新たな基準を求められることになりました。このような状況を踏まえ、ナブテスコと東京計器は、舶用機器の共同開発に乗り出しました。この両社の技術融合は、船舶の燃費削減と安全航行を実現するための重要なステップとなるでしょう。
舶用機器開発の背景
近年、海上安全や航行中の労働環境の改善、さらには日本の海事産業の競争力を高めることが求められています。特に自律運航技術の実用化への期待は高まっており、その実現は船舶運用の効率化と安全性を大幅に向上させる可能性を秘めています。ナブテスコは、舶用エンジンの遠隔制御システムに着目し、推進器制御技術の提供を行います。一方、東京計器は、オートパイロットやジャイロコンパスに基づく舵制御技術を活用し、共同開発を進めます。
燃費削減と安全航行の実現
それぞれの企業がもつ技術を融合させることで、船舶の状態や船外環境の解析を通じて舵および主機の最適制御を実現することが可能となります。この最適化によって、船舶の燃費が削減されるだけでなく、安全で効果的な航行が促進され、船舶運用の省人力化にも寄与すると期待されています。さらに、ナブテスコと東京計器は、2025年の実用化を目指して自律運航技術に関わる要素開発を進め、マーケティング活動を展開する予定です。
実証実験の進行
この共同開発を実現するため、ナブテスコと東京計器は、第一中央汽船株式会社が所有するセメント運搬船「北友丸」を使用した実証実験を行っています。この船は、5,750GTの規模を有し、実際の運用環境でシステムの効果を確認することが目的とされています。実証実験を通じて、船主様や乗組員様のニーズに応じた機能を持つシステムの開発が進んでいます。
環境負荷の低減と未来の展望
ナブテスコと東京計器の連携によって、環境負荷の低減や船舶の航行安全性の向上が期待される中、両社は将来的な自律運航の実現を目指し、開発を進めていく方針です。この取り組みは、地球規模の課題への貢献として見逃せないものとなるでしょう。
企業紹介
ナブテスコ株式会社
2003年に誕生したナブテスコは、独創的なモーションコントロール技術を駆使し、自動化や陸海空の移動を支える機械コンポーネントメーカーです。舶用機器事業では、高い市場シェアを誇り、多岐にわたる製品を展開しています。
東京計器株式会社
1896年創業の東京計器は、航海計器の製造において長い歴史を持つ企業です。民間と官公庁のニーズに応え、船舶開発においても高いシェアを誇っています。
両社の共同開発により、現在の厳しい環境下での持続可能な航行技術の発展が期待されます。今後の展開に注目です。
会社情報
- 会社名
-
ナブテスコ株式会社
- 住所
- 東京都千代田区平河町2丁目7番9号 JA共済ビル
- 電話番号
-
03-5213-1134