乗務員の健康を可視化する新たな取り組み
近年、自動車業界では健康が起因となる事故が増加しています。この現象を受け、大和自動車交通株式会社(東京都江東区)は新たに運転能力測定機器「MEDEMIL Drive®」を導入しました。この機器は、乗務員の健康状態を見える化し、安全運行の体制を強化することを目的としています。
事故リスクの現状と背景
自動車の運行において、健康起因の事故は深刻な社会問題となっています。令和5年の統計では、事業用自動車における健康起因事故の25%が交通事故へと発展していることが示されています。特に、病気の兆候がまだ現れていない“未病”の段階での早期発見と、加齢による運転能力の低下に適切に対処することが求められています。
大和自動車交通では、乗務員の健康を「安全輸送の根幹」と捉え、日々の点呼や健康管理施策の強化に取り組んでいます。その中で、新たに「MEDEMIL Drive®」の試験導入を決定しました。
「MEDEMIL Drive®」の特長
「MEDEMIL Drive®」は、東京医科大学の関連企業である株式会社MEDEMILが開発した装置で、眼球運動を解析することで、ドライバーの運転能力をわずか90秒で測定します。この装置はAIを用いて、ドライバーの注意力、認知力、判断力を評価し、それをスコアとして「見える化」します。
この測定により視界の広さだけでなく、明暗適応や深視力、動体視力なども評価されるため、運転に必要なさまざまな能力をチェックできます。また、視界測定モードや眼球運動トレーニングモードも搭載されており、日常的に安全意識を高める役立つ機器です。
今後の展望と期待
大和自動車交通は、企業理念に基づき公共交通機関としての社会的責任を果たすため、社員の健康管理を経営における重要な柱として位置づけています。現在は一部事業所での試験導入にとどまりますが、その効果や現場の反応を踏まえ、今後のグループ全体への展開を検討していく所存です。
さらに、収集したデータを活用して健康支援施策や運行管理の高度化を図り、ICTやAIを駆使した先進的な取り組みを推進します。