福利厚生制度の実態と課題
最近、福利厚生の重要性が再認識されています。株式会社月刊総務が実施した調査では、全国の総務担当者から231名が回答し、福利厚生制度の実態とその課題が明らかになりました。
調査結果の概要
全体として、総務が推奨する福利厚生には「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「ウェルビーイング・健康経営」が挙げられます。しかし、実際の利用率は推奨される制度と乖離していることがわかりました。
利用率が高い福利厚生
利用率の高い施策には、「休暇」「両立支援(育児・介護)」「余暇・レクリエーション」があります。特に休暇制度は32.5%の利用率を示しており、従業員にとって時間的な余裕が求められていることを示唆しています。
利用促進への取り組み
また、福利厚生の見直しが行われている理由としては「働き方の変化」や「社会情勢の変化」が多く、特にリモートワークの普及が影響を与えていると考えられています。しかし、約3割の企業が福利厚生の見直しを行っていない現状も指摘されています。
経営側の認識と実態
福利厚生制度の目的としては、「離職率の低下」が70.1%で最も多く、次に「採用力の向上」が56.7%となっており、企業は従業員の定着率や採用活動に重視しています。しかし、実際の利用状況はなかなか高まらず総務が推奨する制度と実績の間にギャップが存在しています。
例えば「両立支援(育児・介護)」は推奨度が34.2%ですが、実際の利用率は30.7%にとどまっています。また、「リスキリング・キャリア開発」は29.4%が推奨しながらも利用率は13.9%に過ぎません。これらのデータは、企業内での情報周知や制度への理解が不足していることを示すものかもしれません。
課題解決に向けたアプローチ
福利厚生制度の運用においては、コストの増大、利用制度の偏り、利用率の低さが主な課題として挙げられています。例えば、福利厚生にかかる費用が企業にとって負担となるため、これが制度の見直しや新しい施策の導入をためらわせる要因にもなっています。
そのため、多くの企業では「イントラネットや社内報での周知」を通じて制度の利用促進を図っていることが調査から示されています。これは、従業員に対して福利厚生制度の重要性や内容を再認識してもらうための必要なステップです。
総括
今回の調査結果から、福利厚生制度は企業の戦略において重要な役割を果たしていることがわかりました。今後、企業は従業員のニーズに応じた柔軟な制度運用を行う必要があり、コストの最適化を図ることで持続可能な福利厚生制度の実現を目指すべきです。
残念ながら、まだ利用率の低い施策があるため、特に「リスキリング」や「ウェルビーイング」のような戦略的な施策のさらなる普及が望まれます。これにより、企業としても従業員の満足度を高めるだけでなく、生産性の向上も期待できるでしょう。根本的な見直しと進化が求められる総務の活動に、今後も注目が集まります。