がん治療の未来を切り開く新たな提携
2025年7月1日、TOPPANホールディングス株式会社とテキサス大学MDアンダーソンがんセンターが、がん治療における新たな一歩を踏み出すための戦略的提携を締結しました。この提携の大きな目的は、患者由来のサンプルをもとにした新しい3D細胞培養技術を用いて、がん治療の有効性を評価することにあります。
この共同研究では、TOPPANホールディングスが開発した3D細胞培養技術「invivoid®」を用いて、臨床での応用を目指します。この技術は患者の生検から迅速にオルガノイドモデルを作成でき、がんの治療法を事前にテストすることを可能にします。これにより、患者一人ひとりに合わせた効果的な治療法を選定することが期待されており、不要な治療を回避する道筋も開かれます。
オルガノイド技術の可能性
オルガノイドとは、患者の体外で生成された生体組織の小さなモデルを指し、がん細胞の複雑さを再現することができます。この技術を用いることで、治療開始前に患者がどのように治療に反応するかを予測することが可能になるとMDアンダーソンのドナ・ハンセル医師は述べています。このような予測は従来の治療法では難しいため、画期的なアプローチと言えるでしょう。
朝田 大氏、TOPPANホールディングスのビジネスイノベーションセンター長も、今回の提携が個別化がん医療への新しい道を拓くと強調しています。未来のがん治療がより効果的かつ患者一人ひとりに最適化されていく可能性に、今後の展開が注目されます。
現在の研究状況と今後の展望
今回の提携において、研究チームはすでに2023年7月から臨床検体を用いた基礎研究を実施しており、その成果を基に共同研究が進められます。目指すは、CAPおよびCLIAの認証取得と、臨床における評価手法の確立です。これが実現すれば、がん治療における革新はより現実に近づくことでしょう。
TOPPANホールディングスは、今回のパートナーシップの一環として、認証取得に向けた取り組みを支援するため、今後5年間で1,000万USドルの資金を提供することも発表しました。これは、がん治療の進化に向けた強力な基盤となります。
MDアンダーソン専門機関の役割
MDアンダーソンがんセンターは、がん研究と医療の最前線に立つ機関として名高く、その使命は全世界のがん患者のための治療法の開発と予防に尽力することです。U.S. News & World Reportでは、がん部門でのランキング1位を維持しており、その名声は不動のものです。
本提携により、がん治療の最先端に立つ両者が協力することで、今後どのようにがん医療が進化していくのか、さらなる情報の発表が待たれます。技術革新が実現する未来を見据え、私たちはその行く先を注視していきたいと思います。