マレーシアで注目を集める「BEAUTYプロジェクト」
一般社団法人アジアがんフォーラム(ACF)は、2024年6月21日~23日にマレーシア・クアラルンプールで開催された「National Cancer Congress Malaysia 2024」で、マレーシア対がん協会(NCSM)と共に推進している「BEAUTYプロジェクト」について発表しました。
BEAUTYプロジェクトは、マレーシアの地域住民に対して、がんやその他の非感染性疾患(NCDs)に関する健康知識、リテラシー、リスク低減の実践を向上させることを目的とした、地域密着型のデジタル介入プログラムです。
ACFは、2022年からBEAUTYプロジェクトの開発を進めており、44本の映像と48冊のブックレット、デジタルレジストリポータルを完成させています。2024年には、美容室・理容室をタッチポイントとしたがん検診のパイロットスタディを実施することを発表しました。
持続可能なヘルスケアへの貢献
今回の国際会議では、「BEAUTY: Sustainable Health Link towards UHC」と題したスピーチで、BEAUTYプロジェクトの取り組みが紹介されました。ACFは、マレーシアの中期的な変化を見据え、日本の企業で進んでいる健康経営の取り組みやがん教育の重要性についても説明しました。
さらに、マレーシアでも日本と同様に、経済格差と地域格差が顕在化していくことを視野に入れ、日本で始まったがん医療の遠隔診療・遠隔治療の取り組み、AI技術を使った内視鏡診断など、先進的な医療技術を紹介しました。
国際的な連携と今後の展望
「National Cancer Congress Malaysia 2024」には、世界14か国からゲストスピーカーが参加し、マレーシアにおけるがん対策について様々な発表が行われました。
WHOマレーシア事務所長であるDr Rabindraは、マレーシアのがん患者数は2050年までに2倍以上になると予想し、がん負担の増加が同国に大きな経済的影響を与えることを指摘しました。また、持続可能な開発目標(SDGs)の中でがん対策を文脈化することの重要性を強調しました。
マレーシア保健大臣Dzulkefly Ahmadは、乳がんの早期発見と精密診断のための利用しやすい診断ツールの開発・導入など、様々な意欲的な取り組みを発表しました。
会議では、患者中心の集学的なアプローチを推進することや、がんと健康に関する研究、政策立案、実施プロセスにおいて、患者と地域社会をより有意義に関与させることの重要性についても話し合われました。
BEAUTYプロジェクトは、今後もマレーシアの地域住民のがん予防と早期発見を促進し、持続可能なヘルスケアを実現するために貢献していくことが期待されています。
地域住民の健康を支える「BEAUTYプロジェクト」への期待
今回の国際会議での発表を通じて、マレーシアにおける「BEAUTYプロジェクト」への注目度がさらに高まったことは、大きな成果と言えるでしょう。
BEAUTYプロジェクトは、地域住民にとって身近な理髪店や美容院を拠点とすることで、従来のがん検診へのアクセスが困難であった人々にも、健康情報や検診の機会を提供することができます。これは、特に経済格差や地域格差が課題となるマレーシアにおいて、非常に重要な取り組みと言えるでしょう。
さらに、日本の健康経営や遠隔医療などの先進的な取り組みを紹介することで、マレーシアにおけるがん対策のさらなる発展に貢献できる可能性も示唆されています。
しかし、プロジェクトの成功には、政府や医療機関、地域住民など、様々な関係者の協力が不可欠です。
ACFは、今後も関係機関との連携を強化し、BEAUTYプロジェクトをさらに発展させていくことで、マレーシアにおけるがん予防と早期発見を促進し、地域住民の健康寿命延伸に貢献していくことを目指しています。
BEAUTYプロジェクトは、地域住民の健康を支えるだけでなく、国際的ながん対策への貢献も期待されています。今後の展開に注目していきたいです。