令和7年度税制改正と「103万円の壁」の新たな視点

はじめに

1月21日に行われたMJS主催のセミナーでは、令和7年度の税制改正に関わる重要なポイントが解説されました。第一線で活動する税理士、植田卓氏が講師として登場し、各種改正の背景や意義を詳しく説明しました。本記事では、その内容を振り返り、特に注目すべき点をまとめます。

令和7年度税制改正の全体像

税制改正は、国内の経済環境や課題に応じて見直されるものです。今年の改正では、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を最優先とし、特に中小企業への視点が挙げられました。過去の制度では中小企業を「弱いもの」と捉える保護的な姿勢が強かったのに対し、より成長を促すための改革が見られることが特徴的です。

中小企業育成の視点

今年の税制改正は、売上高100億円を目指す中小企業にとっての育成政策が重要なコンセプトとなっています。特に注意したいのは、賃上げと設備投資をリンクさせた施策です。先端設備等導入計画において賃上げを絡めることで、固定資産税に対する減免措置が用意されています。

「103万円の壁」の見直し

「103万円の壁」は、給与収入が103万円を超えると配偶者や扶養控除が適用されなくなる独特の制度です。この制度が改正されることにより、基礎控除や給与所得控除が引き上げられ、実質的に非課税となる収入の上限が123万円に引き上げられました。この改正は特に大学生や若年層への就業調整に関するサポートを強化する方向が見えます。

また、特定扶養親族についても新たな控除が設けられ、従来の壁を若干柔軟にした形となります。