QunaSysがデンマークの助成金で量子コンピュータ研究を進展
QunaSysは、化学分野における量子コンピュータの産業応用を狙い、デンマーク・イノベーション基金からの支援を受けて新たなプロジェクト、HyperTenQを始動しました。このプロジェクトは、創薬や材料科学など多様な産業課題の解決を目指し、1,900万デンマーククローネ(約4億円)の助成を受け、2025年までの4年間にわたって展開されます。
プロジェクトの背景と目的
現在のコンピュータ技術では、化学に関連する複雑な計算やシミュレーションには膨大なリソースが必要です。これに対し、量子コンピュータはその独自の計算能力を活かすことで、より効率的かつ精密な予測が実現可能になると期待されています。HyperTenQは、そんな量子技術の実用化を目指す野心的な取り組みです。
本プロジェクトは、QunaSysだけでなく、コペンハーゲン大学とノボ ノルディスク財団の量子コンピューティングプログラム(NQCP)という3者の連携によって進められます。NQCPはニールス・ボーア研究所を拠点に、先進的な量子アルゴリズムやその応用研究を行っています。
具体的な研究内容
HyperTenQの具体的な研究内容としては、以下のような計画が掲げられています。
1.
量子アルゴリズムの改良:Tensor Hypercontraction(THC)とQubitization技術を活用し、量子位相推定(QPE)のアルゴリズムの改良に取り組みます。
2.
新型量子コンピュータとの統合ソフトウェア開発:光方式による新たな量子計算技術を開発し、計算リソースの最大化を図ります。
3.
誤り耐性量子コンピュータのアプリケーション開発:FTQCの技術を駆使し、化学計算の幅広い応用を可能にする基盤を整備します。
このようにして、量子コンピュータの実用化は進み、製薬やエネルギー業界等において新たな価値創出が期待されています。
コメントと期待
プロジェクトに対する期待も高まっています。QunaSys EuropeのCEO、エリック・スタンゲラップ氏は、今回の助成を自身の技術開発を前進させる貴重な機会として捉えており、NQCPとの連携により量子化学の革新を進められると自信を表明しています。
また、NQCPの研究ディレクター、ジェマ・ソロモン教授も、QunaSysのソフトウェアとニールス・ボーア研究所のハードウェアプラットフォームの結合により、化学量子計算における新たな発見を期待しています。
プロジェクト概要
- - プロジェクト名: HyperTenQ - 量子化学における量子位相推定アルゴリズムの強化
- - 助成金額: 1,900万デンマーククローネ
- - 総予算: 2,100万デンマーククローネ
- - 期間: 4年間
- - 参加団体: QunaSys、コペンハーゲン大学化学研究科、ノボ ノルディスク財団量子コンピューティングプログラム(NQCP)
QunaSysについて
QunaSysは、量子コンピュータに特化したソフトウェア開発を行う企業で、化学や材料科学の応用に力を入れています。量子テクノロジーの研究開発を通じて、産業界と学術機関との協力を強化し、持続可能な環境開発にも寄与しています。