お洒落な茶道具『44の茶箱あそび』の魅力
2月14日(木)、世界文化社から刊行される『44の茶箱あそび』は、茶の湯を愛する人々にとって必見の書です。著者の多田けい子さんが長年にわたり試行錯誤を重ねてきた44の茶箱が収められており、それぞれが独自のストーリーと美しさを持っています。
茶箱とは?
茶箱はお茶を点てるための道具一式をコンパクトにまとめた容器で、持ち運びが便利でありながら、その中には多くの文化や物語が詰まっています。本書では、多田けい子さんが自ら手作りで仕立てた茶箱を紹介しており、ただの道具にとどまらない、創造的な遊び心が感じられます。
自由な発想と伝統の調和
多田さんは、インスタグラムで人気のアカウント@tea_keikoを運営しており、そのフォロワー数は62,000人を超えます。彼女の茶箱は、すべて茶のルールに基づいて作成されながらも、自由で斬新な発想が詰め込まれています。仕覆はすべて自作で、布地の選定やデザインにおいても多田さんのセンスが光ります。
例えば、十二か月の茶箱「一月瑞雲の籠」では、宜興の急須や染付の茶碗が竹製の網代提藍に収められ、華やかさが際立っています。仕覆には古典的な錦や金襴、無地のインドシルクなど、色とりどりの布が使用されており、見る者を楽しませます。
さらに、個性的な茶箱「フィオルッチの箱」では、洋風の白い薬箱とその中に収められた茶道具が絶妙にコーディネートされ、まるで現代美術のような雰囲気を醸し出しています。
「私の茶箱」の哲学
多田さんは、「私の茶箱は、私の思い込みや思い出が詰まったもので流儀のものとはまるで違うかもしれません。けれど作る時にはお茶のルールに従って道具立てをし、必ず箱に収まるように作りました」と語っています。このように、彼女の茶箱には自由な表現とともに、茶道の基本がしっかりと根付いています。
多岐にわたる茶箱の世界
本書は、12か月の茶箱や可愛らしい茶箱、さらには西洋風の茶箱など、多彩な茶箱のコレクションを通じて、茶の湯の楽しさや奥深さを伝えています。また、各茶箱を掲載したページでは、多田さんによる「茶箱茶籠の組み方」のヒントも収録されており、これから茶箱に挑戦したいと思っている人にとっても貴重な情報源です。
著者の背景
多田けい子さんは、石川県鳳珠郡穴水町出身で、早稲田大学を卒業後、金沢市に居を構えています。今年、地元能登半島の地震を受けて復興チャリティ特別展を開催するなど、多彩な活動を行っています。彼女の茶箱は、伝統と現代性が交差する美しい作品として、多くの人々から愛されています。
書籍詳細
『44の茶箱あそび』はB5変型判で128ページ。定価は2,420円(税込)で、世界文化社からの刊行です。興味を持たれた方は、ぜひ書店で手に取ってみてください。茶の湯を愛するすべての方々に、大いに楽しんでいただける一冊です。