最先端の技術を駆使した新型X線CTシステム
エレクトロニクス商社の丸文株式会社は、日本ベーカーヒューズ社の超高解像度X線CTシステム「Phoenix Nanotom HR」の取り扱いを開始することを発表しました。このシステムは、最新のナノフォーカス技術を駆使し、前例のない解像度で製品内部の確認を可能にします。
1. 「Phoenix Nanotom HR」の特長
「Phoenix Nanotom HR」は、高分解能ナノフォーカスX線管と高解像度フラットパネルディテクタを装備。これにより、従来のX線CTでは把握できなかったサブミクロンレベルの微細な欠陥や内部構造を3Dで鮮明に可視化します。これによって先端半導体やバッテリーの非破壊解析が可能となり、製品の性能向上へと寄与します。
2. 現行のX線CTにおける課題
近年、ハイパフォーマンスなチップレット構造や高エネルギー密度のバッテリーが急速に開発されていますが、これらの内部構造は非常に複雑であり、従来のX線CTを使った非破壊解析にはいくつかの課題が存在していました。主な問題点は次の通りです。
- - コントラストの低下: 微細な欠陥が背景に埋もれ、検出が困難。
- - アーティファクトの発生: X線の散乱が影響し、精密な画像再構成が妨げられる。
- - 視野サイズと分解能の両立: 広範囲を観察しながら微細欠陥を特定することができない。
これらの課題は、商品の信頼性評価や不具合解析の上で、大きな障害となっていました。
3. 提供される解決策
「Phoenix Nanotom HR」は、最新の基幹デバイスを搭載し、これらの問題を克服するために開発されています。その高解像度と安定性が最大の武器です。具体的には、150nmの分解能を持つナノフォーカスX線管が搭載されており、真円のスポットが自動的にフォーカスされ、長時間安定した高品質画像を得ることが可能です。
また、最新のDXR S100 Pro検出器は高感度で高コントラストを実現し、微細な構造差を鮮明に捉えることができます。さらに、操作性においてもシンプルなユーザーインターフェースが取り入れられており、誰でも簡単に高解像度の撮影が可能になります。
4. 投資対効果も抜群
「Phoenix Nanotom HR」は、18時間フル稼働してもメンテナンスが年1回で済むため、運用コストを非常に抑制できます。
主なアプリケーション
- - 高帯域幅メモリー (HBM): マイクロバンプの欠陥やアライメントの不具合。
- - 2.5D チップレット: シリコンインタポーザの剥離や異物混入の検出。
- - リチウムイオンセル: 粒度の分布の解析。
- - CFRP: 繊維配向の不良や層間剥離、ボイドの特定。
5. 今後の展望
丸文株式会社は、これまでにもロックイン発熱解析装置やレーザー開封装置などの提供を通じて、半導体や電子部品向けの故障解析に貢献してきました。新たに「Phoenix Nanotom HR」を加えることにより、製品の信頼性や製造プロセスの効率化を図り、顧客の事業へ貢献する所存です。
丸文株式会社は、1844年に設立されたエレクトロニクス商社であり、グローバルに展開しています。今後もテクノロジーを駆使し、より良い未来の実現を目指します。