革新的な糖尿病治療法
2025-04-03 11:37:53

1型糖尿病治療に向けたバイオ人工膵島開発の新たな挑戦

1型糖尿病治療に向けたバイオ人工膵島開発



株式会社東陽テクニカ(東京都中央区)は、神戸大学(兵庫県神戸市)および理化学研究所(埼玉県和光市)と共同で、1型糖尿病の新しい治療法としてバイオ人工膵島の開発に乗り出しました。

1型糖尿病とは


1型糖尿病は自己免疫性疾患であり、膵臓内のインスリンを分泌する膵β細胞が破壊されることで発症します。この疾患は、幅広い年齢層に影響を与え、主な治療法としてはインスリンの注射が挙げられます。患者は血糖値を常に監視しながら、インスリンを継続的に接種する必要があります。これにより、生命の危険を回避することが可能ですが、その一方で治療には多くの課題が存在します。

膵島移植のメリットと課題


膵島移植は、ドナーから採取した膵臓内の膵島細胞を移植する治療法であり、インスリンの継続的な接種を不要にします。ただし、ドナー不足により、実際の移植までに10〜15年の長い待機時間がかかることと、移植後は生涯にわたり免疫抑制療法が必要となることが大きな課題です。そこで注目されているのが、バイオ人工膵島の移植です。

バイオ人工膵島移植の革新


このバイオ人工膵島移植では、医療用に育てられた大動物から採取した膵島をカプセル化して移植します。特に、今回の共同研究では、神戸大学大学院医学研究科が進める膵島細胞のカプセル化技術と東陽テクニカの「AGM」技術が採用されています。具体的には、膵島サイズの細胞を100〜300μmにし、アルギン酸ゲルビーズに包埋し、その後に生体親和性に優れたポリマーコートとアガロース膜を施します。

このカプセル化により、細胞は適切な生体内環境を維持し、免疫機構から隔離されるため、細胞の崩壊や壊死を防ぐことが可能になります。また、カプセル化技術の自動化も検討されており、効率的な移植医療に向けた新たなステップとなります。

患者のQOL向上に向けて


「AGM」を活用することで、外科的な処置の負担が軽減され、日帰りでの施術が可能になる予定です。さらに、免疫抑制療法を必要としないため、患者の生活の質(QOL)の向上が期待されます。これにより、より多くの1型糖尿病患者が新たな治療の恩恵を受けられることになります。

AGM技術の詳細


この「AGM」は、理研が特許を持つ技術を基にしており、細胞の3次元培養に特化した製品です。通常のディッシュを使用して培養され、2次元のセルフ環境では得られない細胞の変性を抑え、生体内環境を模倣する利点を持っています。また、多孔性膜を有するカプセルは、培地やガスの交換を迅速に行える特徴を持っています。

まとめ


東陽テクニカ、神戸大学、理化学研究所の共同研究は、1型糖尿病患者に新たな治療機会をもたらすことが期待されています。バイオ人工膵島移植の成功に向けて、さらなる進展が待たれます。今後の研究成果に注目が集まります。


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会社情報

会社名
株式会社東陽テクニカ
住所
東京都中央区八重洲1-1-6
電話番号
03-3279-0771

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