新たなデータ活用の可能性:東京-北海道間のストレージ実証
2023年に、株式会社ブロードバンドタワーとNTT東日本株式会社が共同で次世代通信基盤「IOWN APN」を活用したストレージ統合の実証を成功させました。このプロジェクトでは、東京と北海道のデータセンター間で1,000km以上の距離を超えて、高速かつ効率的にデータを利用できる新たなシステムが試されました。
1. プロジェクトの背景
デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、生成AIや機械学習の進展に伴って、企業がデータを活かす重要性が増しています。そのため、ストレージはただのデータの保存場所ではなく、ビジネスを支える「データプラットフォーム」に進化しています。しかし、この新しい環境において、データセンターの東京一極集中は問題として浮上しました。災害時の強靭なデジタルインフラの必要性や地方創生の推進、再生可能エネルギーの効率的活用が求められる中、「データセンターの地方分散」が急務となっているのです。
2. 実証の目的と成果
本実証の目的は、分散したストレージ環境においても、AI学習や映像処理の効率を失わず、同一拠点でのパフォーマンスと同等の結果を得ることでした。結果として、実際に東京と北海道間で接続したストレージは、通信遅延やゆらぎが少なく、ほぼ同じ性能を発揮しました。この成果により、企業はデータの保存場所を意識することなく、最寄りのデータセンターからアクセス可能になる見込みです。
実証の具体的な環境と構成
実証は、ブロードバンドタワーの「新大手町サイト」とNTT東日本の「札幌東局」で行われ、ストレージはDell PowerScale F200を使用して構成されました。これにより、ネットワークは「All-Photonics Connect」を利用し、100Gbpsの回線速度を実現しました。
3. 課題と解決策
本プロジェクトでは、データの格納場所と利用者が異なる場合に生じるデータの移動による負担意識や、ストレージを拠点ごとに運用することによる管理負荷が課題とされました。データ転送に伴うネットワーク帯域や運用工数の増加は生産性に影響を与えるため、新たな対策が必要でした。
ブロードバンドタワーは、ストレージの提供や検証環境の整備を担当し、NTT東日本はIOWN APNの技術提供を行いました。この連携により、データの移動やストレージ管理の複雑化を解消することが期待されます。
4. 今後の展開と期待される効果
この実証が成功を収めたことは、1,000km以上離れたデータセンター間でのストレージ利用の新しい可能性を開くものです。地方データセンターに蓄積されたデータを活用し、生成AI開発や複数拠点のコンテンツ制作など、様々な業務に応用される見込みです。このような統合的なデータ管理は、ランサムウェア攻撃の防御策としても機能すると考えられています。
Moreover、ブロードバンドタワーが北海道で運営する「石狩新港サイト」などの再生可能エネルギーを活用したデータセンターが、今後のデータ戦略において重要な役割を果たすことになるでしょう。NTT東日本はこれを踏まえてさらなる社会実装を進め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを続けていきます。
5. 結論
今回の東京-北海道間のストレージ統合実証は、データの分散管理の新たな形を示し、将来のデジタル基盤を構築する重要なステップとなるでしょう。これにより、企業はデータを最適な場所に配置し、効率的に活用できる環境が整うのです。ブロードバンドタワーとNTT東日本の協力によって、新たなデータ活用の形が生まれることが期待されます。