自律分散型組織の未来を描く
株式会社ネットプロテクションズが新書『管理職を全廃しました──社員全員が自走するティール型組織』を発売します。本書は、同社の代表である柴田紳によって執筆され、2012年にすべての管理職を廃止して以来追求してきた自律型組織の実践とその成果が詳述されています。
管理職を廃止した理由
本書の中心テーマは、「社員はなぜ自走できないのか?」という問いです。著者自身の商社時代における挫折や創業初期の問題に苦しみながら、柴田は伝統的なマネジメント手法の限界に直面しました。指示や管理によって人を動かすことの難しさを体験し、全社員との対話を通じてたどり着いた答えが、管理職をなくし、全員が自律的に行動する組織の構築です。
2012年から、同社は全ての管理職を廃止し、「人を管理する」仕組み自体を撤廃。メンバー一人ひとりが自ら考え、意思決定し、行動する組織への転換を図りました。その過程で開発したのが、信頼と対話を基盤にした人事評価システム「Natura(ナチュラ)」です。このシステムにより、上下関係に依存せず、各自が興味や意欲に基づいて取り組むプロジェクトを選択。透明な情報共有と合意形成を通じて意思決定が行われる新たな文化が育まれました。
自律分散型組織の成果
「社長が何もしない」ことが最高のマネジメントという逆説的なテーマのもと、10年以上にわたって“集合知で動く経営”を実践してきた結果として、以下のようなポジティブな変化が現れました。
- - 管理職の「指示待ち構造」が消失し、意思決定のスピードが向上。
- - 若手社員に挑戦の機会が増え、新たな事業創出が促進。
- - エンゲージメントスコアは高水準を維持。
- - 自律的協働が進み、事業スピードと心理的安全性が両立。
これらの成果は、従来の組織形態とは異なるアプローチが持続可能であることを示しています。 本書では、これらの事例を通じて、制度設計や文化の育成、意思決定プロセスなどを詳細に紹介し、他の企業や組織にとっての手本となるような内容が盛り込まれています。
柴田社長の想い
柴田は、「管理職をなくすことが目的ではなく、全員が自走できる仕組みを作ることが目指すべきことだ」と語ります。企業とは、人が最も生き生きと働ける社会の最小単位であるべきです。指示や監督を行うのではなく、信頼に基づいて人々が自ら行動できる環境の構築を目指します。彼は、この本が組織づくりに悩むリーダーやチームにとって、小さなヒントとなることを願っています。
書籍情報
- - 書籍名: 『管理職を全廃しました──社員全員が自走するティール型組織』
- - 著者: 柴田 紳(株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長)
- - 発行元: ダイヤモンド社
- - 発売日: 2025年11月12日
- - 定価: 1,980円(税込)
- - ISBN: 978-4-478-12205-1
この書籍を通じて、自律した組織の構築が日本企業のスタンダードとなるよう、引き続き挑戦を続けていく所存です。