新型分子結晶アクチュエーター
2026-06-25 11:00:30

温度応答性を持った新型分子結晶アクチュエーターの開発と応用の展望

温度応答性を持った新型分子結晶アクチュエーターの開発



静岡大学理学部の関朋宏准教授を中心とした研究グループは、液晶性分子骨格を用いた新しい分子結晶アクチュエーターの開発に成功しました。この技術により、結晶の長さが温度変化に応じて最大1.52倍まで変化することが可能となり、今後の応用に期待が寄せられています。

研究の背景と目的



分子結晶の中でも、外部刺激に応じて形状を変えることができる材料は、アクチュエーターやセンサー、マイクロロボティクスなどに幅広く応用される可能性があります。しかし、これまでそのような「形を変える結晶」は極めて珍しく、特に大きな変形を実現するための合理的な設計指針も不足していました。液晶材料はその高い配向秩序と温度変化に伴う層間距離の変化という特性を持つため、研究グループはこの性質を結晶の硬い格子構造と組み合わせることで、マクロな変化を実現できると考えました。

研究成果



使用された液晶分子は5CBの誘導体5IBです。この分子のアルキル鎖の長さを変えることで、結晶の伸縮の方向や大きさを柔軟に調整することが可能になりました。特に注目すべきは、Au-4IBという分子結晶で、加熱と冷却のサイクルを通じて3種類の多形間で二段階の長さ変化が観察されました。この変化は特に顕著で、最大の伸長率はρL = 1.52に達するとされています。

さらに、メソゲン層の厚みの変化が結晶の長さ変化と逆比例するという新たな定量的設計則も確立しました。これは、全ての誘導体において確認され、結晶内の分子配列の変化が大きな結晶の長さ変化を直接的に引き起こすことを示しています。

今後の展望



この研究により、「液晶性を持つ分子骨格を高密度に結晶格子に配列させる」ことで、分子結晶の伸縮を実現できることがわかりました。これにより、今後は人工筋肉のような繰り返し動作を行うソフトアクチュエーターや、微小機械部品を駆動するマイクロアクチュエーター、さらには環境に自律的に応答する柔軟なスマート材料への応用が期待されています。

結論



本研究は、従来の固体の規則性と液体の柔軟性という二つの性質を融合させ、新たな技術の開発をもたらしました。今後の研究と応用展開により、さまざまな分野でのブレークスルーが期待されます。新しい分子結晶アクチュエーターの設計は、液晶の多様な構造からさらなる革新を引き出すことでしょう。


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