優生保護法が奪ったもの - 28年間の悲劇
2025年の春、宮城県仙台市で、特別番組『ほっとネットとうほく』が放送されます。番組では、旧優生保護法によって受けた被害の実態と、それに立ち向かう女性の姿を追います。「傷痕-優生保護法が奪ったもの-」と題されたこの番組は、ただの過去の記録ではありません。これを通じて、今も苦しんでいる人々の声を届けることを目的としています。
背景と判決
2024年7月3日、最高裁は旧優生保護法に基づく強制的な不妊手術を違憲と認定しました。この判決は、被害を受けた人たちにとっての希望の光であり、同時に国に対する賠償を命じるものでした。それから28年間、障害者の不妊手術に対する被害を訴え続けてきたのが、仙台市に住む飯塚淳子さん(仮名、70代)です。彼女は16歳で軽度の知的障害を理由に不妊手術を強要され、その後何度も自らの苦しみを訴えてきました。
飯塚さんの長い闘争の中で、国は彼女の声に耳を傾けることはありませんでした。飯塚さんの心の傷は計り知れず、ただ法的な枠組みが変わるだけでなく、社会全体の意識も変わる必要があると彼女は語っています。
複雑な心境
最高裁の判決と、それに伴う首相の謝罪、補償法成立は、救済の扉が開かれた瞬間でした。しかし、飯塚さんにとってこの裁定は複雑な意味を持っています。彼女はすでに高齢に達しており、長年の闘いが実を結んだ一方で、これまで彼女が受けた苦痛や失われた時間は取り戻せないのです。
番組では、飯塚さんの語りから得た知見や、この問題に直面してきた人々の心声を深く掘り下げていきます。優生保護法によって引き起こされた数々の悲劇は決して遠い過去の話ではなく、今もなお響き続けています。
特別番組の情報
この特別番組は2025年2月11日に放送される予定です。宮城県ローカルの番組ではありますが、東北地方の系列局でも放送の予定があり、放送日時は局によって異なる可能性があります。ナレーションを担当するのは、元NHKアナウンサーの広瀬修子さんです。
飯塚さんの苦しみに寄り添うこの番組を通じて、私たちは過去の過ちから学び、未来へとつないでいくべきです。次世代に向けた大切なメッセージとも言えるこの特別放送をぜひご覧ください。