キューブが送る新たな時代の演劇『サボテンの微笑み』
ケムリ研究室の新作『サボテンの微笑み』が東京・シアタートラムで開幕しました。このユニットは、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチと女優・緒川たまきのコラボレーションしており、これまで多くの話題作を世に送り出してきました。新作は岸田國士の短編戯曲『温室の前』を基にし、兄妹の恋愛騒動を軸に展開される物語です。
物語は大正から昭和初期の東京郊外を舞台にしています。主人公の兄妹、学と空子は、親の遺産を受け継いだ陽光差し込む洋館で二人きりの静かな生活を送っています。兄は温室で植物を育てる仕事に励み、妹はその世話を通じて兄を支える毎日。しかし、彼らの生活は単調でありながらも、外界との接触が少なく、孤独感が漂っています。
そんな彼らの元に、かつての知り合いである夫婦や旧友が訪れ、次第に兄妹の日常に変化が訪れます。登場人物たちのもたらす風が、二人の関係に新たな可能性を開き、彼らの複雑な感情を引き出していく過程が見どころです。
この作品を通じて、彼らの会話劇は一見、古風でありながらもその中で生まれる人間の感情や描写は非常に新鮮です。孤独を受け入れ、互いに思いやる優しさが際立ち、観客は次第に彼らに引き込まれていきます。序幕の短いやりとりからは、兄妹の親密さと愛情が浮かび上がり、時には笑いも交えながら進行します。
本作の演出を手掛けたケラリーノ・サンドロヴィッチは、「小さな物語」を大切にしながら、幸せと不幸せの間にある複雑な感情を捉えようとしています。また、キャストたちもその思いを受け継ぎ、舞台上での演技に真摯に取り組んでいます。
出演者たちのコメントも非常に印象的です。例えば、瀬戸康史は「変わったり変わらなかったり、少しずつ幸せに向かって進んでいる姿が可愛い」と語っており、作品の持つ不器用さに愛情を込めています。他のキャスト陣もそれぞれの思いを表現し、観客に感謝と期待を伝えました。
東京公演は4月19日まで続き、その後は兵庫、豊橋、北九州、新潟など全国を巡演する予定です。チケットは公式サイトで購入可能であり、当日券も用意されています。
公演概要
- - 公演名: ケムリ研究室 no.5『サボテンの微笑み』
- - 作・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
- - 出演: 緒川たまき、瀬戸康史、瀬戸さおり、清水伸など
- - 公演期間: 東京公演:3月29日〜4月19日
- - 公式サイト: ケムリ研究室公式サイト
この新作は、ケムリ研究室の今までの集大成ともいえる内容であり、演劇ファンは必見の公演です。彼らの描く深い人間関係と時代背景の中で、観客もまた新たな感情を体験できることでしょう。劇場での体験をぜひ楽しんでください。