新サービス「M-INT」が実現する地域医療連携のデジタル化
今回、株式会社M-INTが発表した患者紹介業務のデジタル化サービス「M-INT」は、地域医療の効率化を促進する画期的な取り組みです。2023年5月22日に正式にサービスを開始したこのシステムは、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中でも特に医療分野での遅れを解消することを目的としています。
医療現場が直面する課題
医療界においては、高齢者の慢性疾患が増加するなかで、患者が複数の医療機関を受診するケースが増加しています。これにより、同じ検査が繰り返される、あるいは複数の医療機関で同じ問診が行われるなどの非効率的な状況が目立ってきています。M-INTでは、これらの問題点に注目し、患者紹介業務を効率化することが喫緊の課題と浮かび上がりました。
業界の調査によると、紹介業務に関わる医師の約7割が不満を抱えているとのデータもあります。その理由は、紹介状作成にかかる時間が通常の外来業務の約2倍に達し、紙による業務の残存や医療機関同士の情報のやり取りに有効なインフラがないことによります。これらの課題を解決するためにM-INTは開発されました。
「M-INT」の特長
「M-INT」は、患者紹介業務に関連する業務を全てデジタル化することで、これまでの非効率なプロセスを一新します。主な機能としては以下のものがあります:
- - 日本医師会発行の医師資格証(HPKIカード)を用いた電子署名機能
- - 専門性に基づく医療機関検索機能
- - 医療機関の受け入れ方針や専門性が登録されたデータベース
- - 紹介状作成機能に画像データの取り込みも対応
- - ワンクリックでの紹介状共有機能
これらの機能を通じて、医師は紹介状を迅速かつ正確に作成・共有することが可能となり、医療機関同士の連携が強化されます。特に、HPKIカードを使用することで、公式な文書としての信頼性も向上します。
現場の声
実際に「M-INT」を利用している医療機関の声も紹介されており、横浜市の進藤医院の副院長である進藤恵美子様は、「M-INTで繋がるどの医療機関とも距離感が近くなり、連携がより良くなった」と話しています。また、東京都目黒区の田中菜穂子院長は、紹介状作成の手間が省ける点を評価し、診療に集中できるようになったと述べました。
ユーザーからは、紹介状業務がスマートフォンで完結する未来への期待も寄せられています。「M-INT」が提供するソリューションは、今後の診療体制の効率化と患者の利便性向上を図る上で大いに貢献することでしょう。
企業概要
株式会社M-INTは、2021年に設立され、医療現場の効率化を目指すIT活用事業を手掛けています。代表の藤尾夏樹氏は、臨床医としての豊富な経験を基に、医療現場の課題解決に取り組んでいます。
この新しい取り組みにより、医療従事者が働きやすく、患者がより適切な医療にアクセスできる社会の実現に向けて、一歩前進したと言えるでしょう。