尾道市が描く新たな地域猫支援モデル
最近、尾道市から聞こえてきたのは、地域猫支援における新しい波です。NPO法人西日本アニマルアシストが中心となり、移動手術車「おの猫号」と制度型「おの猫基金2026」を融合した先進的な支援モデルが11月21日からクラウドファンディングを通じて発表されました。
背景:尾道市の医療アクセス格差と地域負担
尾道市は、地方都市特有の医療アクセスの乏しさが問題となっています。特に交通手段がない家庭や高齢者が多い地域では、猫の手術にアクセスすることが難しい現状があります。住民からは「車が無くて連れて行けない」といった声や、猫の数が多すぎて手術を受けさせられない実態が伝えられています。これにより、地域猫の増加による糞尿被害や、住民同士のトラブルが深刻な課題となっていました。
課題:従来の施策による限界
全国的には寄付やクラウドファンディングによる支援が行われていますが、地域の管理体制まではカバーできていないことが多いのです。住民の意識を高め、地域住民とNPO法人の協力を得ることが最も大きな課題として浮上しています。実際、現地調査や住民説明会を通じて理解を得ることの重要性が再認識されています。
解決策:医療と制度を同時に届ける
「おの猫号」と「おの猫基金2026」を組み合わせる新たな支援モデルは、住民と医療従事者の協働を基盤としています。具体的には、
1.
「おの猫号」による現地手術: 医療従事者が地域に出向き、猫の手術を実施します。これにより、搬送の負担を軽減し、迅速な医療を提供します。
2.
「おの猫基金2026」による地域運営支援: 地域の実情に基づいた制度的なサポートを提供し、住民の意識調査や説明会を通じて管理体制を確立します。
この両者が連携することで、地域猫の管理をより効率的に行うことが可能です。特に、頭数が多い地域や緊急性があるケースに優先的に対応することで、より多くの猫たちが救われます。
特徴:住民参加型の協働モデル
この支援モデルが特徴的なのは、住民と医療従事者が共に協力して地域の問題に取り組む点です。従来の方法では得られない住民の理解と協力を得ることで、地域全体の負担を軽減します。また、医療従事者の専門性を生かした科学的なアプローチにより、活動の実効性が増すことが期待されています。
今後の展望
尾道市からスタートしたこの新たな地域猫支援モデルは、全国に広がる可能性を秘めています。地域猫問題に悩む他の地域にとっても、解決のヒントとなるでしょう。今後は、必要に応じて広島県内の他地域にもこのモデルを展開し、地域猫への支援を充実させていく方針です。
団体概要
特定非営利活動法人 西日本アニマルアシストは、尾道市に位置し、地域猫管理やTNR事業、高齢者支援など幅広く活動しています。代表理事の箱﨑千鶴氏を中心に、地域との連携を重視した活動を進めています。
私たちは、地域猫問題の解決に向けた新たな取り組みに今後も注目し、応援していきたいと思います。