環境に優しい付着抑制技術で花王が化学技術賞を受賞！

環境に優しい付着抑制技術で花王が化学技術賞を受賞

2024年度の日本化学会第73回「化学技術賞」において、花王株式会社が受賞の栄誉に輝きました。この賞は、日本における化学工業の技術革新を称えるもので、花王にとっては5度目の受賞となります。

受賞の背景と概要

日々の生活には窓の汚れや屋根への積雪、さらには落書きなど、さまざまな付着物に悩まされる場面が多くあります。これらの付着物は日常生活にも、製造業や建設業などの職場環境にも影響を与えるもので、効率低下や手間のかかる清掃作業を引き起こします。

花王は、特に昆虫が移動する際の滑らかさを参考にした「滑液表面」を用いた付着物抑制技術の開発に取り組みました。これはウツボカズラのように、容易に付着物を防ぎつつ、コストや労力を抑えることを目指したものです。

技術の特徴

この受賞した技術は、最先端のバイオマス素材であるセルロースナノファイバー（CNF）を利用し、独自の方法で疎水化を行います。さらに、潤滑油を包み込むカプセル状構造にすることで、高い滑液性と耐久性を兼ね備えた滑液膜を形成しています。

具体的には、有機溶媒やフッ素化合物を用いない、完全水系の処方が施されており、環境にも作業者にも優しい設計が特徴です。この工夫によって、鳥糞や雪、海洋生物、泥など、様々な付着物の抑制が期待されています。

また、この技術を応用した離型剤「ルナフロー」は、2024年に市場に投入される予定です。この製品は、特にゴムや樹脂製品の成型時に型からスムーズに取り外しやすくするために優れた性能を発揮します。さらに、土木工事で使われる重機のバケットへの泥の付着防止の使用も検討されており、技術の幅広い応用が期待されています。