角幡唯介の新作『地図なき山』が登場
日本の探検家で作家の角幡唯介氏が新たに出版した著作『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』が11月20日(水)に発売されました。この書籍は、彼が初めて挑戦した国内での冒険登山を描いたノンフィクションであり、これまでの冒険者としての活動を通じて体験した様々な出来事がギュッと詰め込まれている内容です。
「極夜行」と対をなす重要な旅
著者は、これまでの冒険の中で、冬の北極を歩いた『極夜行』と同様に、日高山脈での「地図を持たない登山」が自身にとっての重要な旅であると考えています。この旅では、道標もなしに、ただ大地の声に耳を傾けながら進む様子が描かれています。現代的な文明の外に飛び出し、地図を捨てた先に待ち受ける世界とは一体どのようなものなのでしょうか。
書評も登場
11月27日には、月刊誌「波」の12月号で、芥川賞作家松永K三蔵氏による書評が掲載される予定です。彼の視点からは、主人公が登山道をあえて外れる「バリエーション登山」に挑む様子も紹介され、角幡氏の「地図を持たない登山」の難しさやその冒険行為の魅力について語られることでしょう。
現代社会への疑問
書籍を通じて著者は、スマホやインターネットを通じて得られる情報に依存しきった日常生活に対する疑問を投げかけます。「果たして、ただ検索結果を追い求めることで、私たちの人生は本当に満たされるのか?」という問いかけが、彼の冒険の動機となっています。そこで彼が選んだのは、文明のすべてを手放し、真の大地と向き合うことでした。
精神的な重圧
日高山脈への挑戦の中で、著者は高低差70mの大滝に直面します。通常であれば克服できるはずのその滝に対し、地形の未知なる先に待つ不安が迫り、結局は登攀を断念せざるを得なくなりました。この瞬間、彼は自身の心に想像を超える重圧を刻み込み、数年間その経験を引きずることになりました。
混沌の葛藤と新たな発見
その後、心を折りそうになりながら再び日高の山に果敢に挑むことで、彼は全く新しい山の表情に出会うことになります。どのように探検家の価値観や視点が変わっていくのか、ぜひ実際に著書を手に取ってみて欲しいですね。読者は、彼の言葉を通じて新たな意味での冒険心を感じ取ることができるでしょう。
書籍の詳細
本書は288ページの読み応えのある内容で、地図を持たずに冒険するという前代未聞の試みを記録。その結果、著者が感じた自由さと不安の矛盾した感情、最終的に影響を与えた経験が描かれています。発売元は株式会社新潮社で、定価は2,310円(税込)。気になる方はぜひ手に取って、未知の冒険の世界を覗いてみてください。