デフリンピック日本初開催と障害者ビジュアルの重要性
2023年11月15日、耳が聞こえない、あるいは聞こえにくいアスリートたちが集い、東京でデフリンピックが初めて開催されます。この国際的なスポーツイベントは、多くのアスリートの活躍が期待される一方で、その認知度はパラリンピックに比べて低く、現状はわずか39%にとどまっています。このギャップは、メディアの露出不足や障害に対する理解がまだ進んでいないことを示唆しています。
障害者のビジュアル表現の実態
ゲッティイメージズは、VisualGPSという消費者意識調査を通じて、企業やブランドのビジュアルにおける障害者の表現が極めて少ないことを明らかにしました。調査によると、日本では障害者が登場するビジュアルは全体の1%未満で、多くは目に見える障害に限定されているのが現状です。聴覚障害やメンタルヘルスに関する表現はほとんど見られません。
日本の消費者の約70%が「障害者を平等に表現してほしい」と考えており、さらに87%が「障害のある人々に平等な機会が与えられるべき」と回答しています。同時に、企業は障害者を描く際に「希望」や「サポート」、「痛み」といった感情に重きを置きがちですが、これらはいずれも日常生活や自立した姿を十分に反映していないことが指摘されています。
人気の障害者ビジュアル表現
VisualGPS調査では、企業やブランドにおける「障害のある方」のビジュアル表現がいくつかのテーマに偏っていることがわかりました。最も多いのは「希望」で、家族や介助者と共にいる姿や自然の中での笑顔がよく描かれていますが、これは依存的な側面をも含む表現として捉えられることもあります。
次に多いのは「サポート」で、手をつなぐ、介助する姿が強調されていますが、これも同様に支援との関連で描かれるため、一面的な見方をされることが多いです。
「ストレス」や「痛み」に関連したビジュアルは、特に若者に焦点を当てた負の側面を強調するといった内容が見受けられ、精神的な障害を特定の年齢層の問題として捉えたり、身体的障害については一時的なものとする表現の傾向があります。
社会へのポジティブな影響
このように、障害者を表現するビジュアルが乏しい中でも、調査結果は明らかにしています。消費者の68%は、さまざまな能力を持つ人々がメディアや広告に登場することは、相互理解にポジティブな影響をもたらすと考えています。普通の生活の中での障害者の姿が共有されれば、理解が深まり企業との信頼関係が築かれるでしょう。
さらに、企業のCSRやSDGsへ真摯な取り組みを示すためにも、障害者の多様なライフスタイルや日常生活の中での希望や活動を描くことの重要性が増しています。
障害者ビジュアル表現の方向性
では、企業やブランドが障害者をどのように表現すべきなのか。日常生活の豊かさ、様々なライフスタイル、主体的な希望や誇りを描くことが求められています。
1.
日常生活の豊かさ: リハビリや治療に限定せず、生活の中での喜びや笑顔を捉え、様々な障害を持つ人々の日常シーンを描く。
2.
年代・アクティビティの多様化: 若い世代がどのように現代のライフスタイルを楽しむか、特別でなく日常の一部として描く。
3.
本当の希望の表現: 依存を伴わない希望や前向きさを示し、自己決定や達成感を描く。
まとめ
デフリンピックの開催を契機に、誰もが共感できる形で障害者の多様な姿をビジュアルに反映させることは、企業にとっても社会にとっても必要です。それにより、より良い理解や関係を築く一歩が踏み出せることでしょう。