住友ベークライトが開発した新素材の魅力
住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、社長:鍜治屋 伸一)は、新たなブレーキパッド用バインダー樹脂として、耐摩耗性に優れた「スミライトレジン® PR-56531」を発表しました。この製品は、自動車のブレーキシステムにおいて非常に重要な役割を果たしながら、環境への配慮もアピールするものです。
背景
近年、深刻な大気汚染が問題となる中、自動車から排出される有害物質に対する規制が強化されています。特に2028年から適用される予定の欧州排ガス規制Euro7では、ブレーキダストの発生量にも新たな基準が設定され、その対応が求められています。これにより、特に欧州市場向けの摩耗粉量を低減したブレーキシステムの開発が急務となっています。そんな背景を受けて、住友ベークライトでは新しい耐摩耗バインダー樹脂の開発を進めました。
精度の高い耐摩耗特性
「スミライトレジン® PR-56531」は、従来の樹脂と比較して摩耗量が24%も低減することが確認されており、その耐摩耗特性は非常に高いものです。具体的には、当社のダイナモ試験においてこの樹脂を使用したブレーキパッドモデルが、未変性フェノール樹脂と比べて著しく優れた性能を示しました。この樹脂は、既存の摩擦材製法に容易に適用でき、摩擦性能を損なうことなく耐摩耗性を向上させることができます。
グローバルな生産体制
住友ベークライトでは、スミライトレジンの生産を自社の海外拠点でも行う予定です。これにより、中国や東南アジア、欧米市場からの供給を大幅にスムーズに行うことができるため、お客様の多様なニーズに申し分なく応えることができます。
環境への配慮
この新樹脂を使用することで、環境負荷を低減しつつ、持続可能な社会の実現に向けて貢献できると考えています。住友ベークライトでは、Euro7規制に対応するブレーキ摩擦材市場への進出を目指して積極的に取り組んでおり、2027年には量産販売を開始する見込みです。また、年間の売上収益は10億円を目指して努力を続けています。
今後の展望
今後も住友ベークライトでは、環境負荷の低減やサステナビリティを意識した製品ラインナップの拡充、さらに電動化に伴うブレーキ技術の向上を図っていきます。特に、短時間成形やバイオマス技術の導入による次世代ニーズへの対応に注力する方針です。
住友ベークライトの新たな取り組みは、自動車産業のみならず、環境問題への取り組みも同時に推進する重要な一歩となるでしょう。未来の持続可能な社会を目指す革新的な製品に期待が高まります。