高末、カインズ、DCMが共同配送を開始
物流業界が現在直面している問題の一つは、トラックドライバー不足です。働き方改革関連法案による規制が影響し、トラックドライバーの過重労働が懸念されています。このような背景の中、高末株式会社(愛知県名古屋市)、カインズ(埼玉県本庄市)、DCM株式会社(東京都品川区)の3社が手を組み、2025年2月17日に東海地方で共同配送を始めることとなりました。
共同配送の目的と効果
この取り組みの主な目的は、空車走行の削減とCO₂排出量の減少です。従来、カインズとDCMはそれぞれ自社の物流センターから店舗への納品後、空車で元のセンターに戻っていました。しかし、今回の共同配送では、納品を終えた後は相手先の物流センターで商品を積み替え、相手の店舗へ届けてから自社のセンターに戻る流れになります。
これにより、無駄な走行距離が減少し、配送効率が向上するだけでなく、年間で約33.6トンのCO₂の排出削減が見込まれています。高末の代表取締役社長、高村徹郎氏は、「この共同配送を通じて、物流課題を解決し、持続可能な社会を実現するために努力していきたい」と意気込みを語っています。
取り組みの背景
一方、トラックドライバー不足の背景には、物流業界全体の構造的な問題があります。物流2024年や2030年問題として知られるこれらの課題は、今後もかさむ一方とされ、多くの企業が新たな戦略を模索しています。しかし、高末、カインズ、DCMは互いに支え合う形で、安定した商品供給を維持しようとしています。
カインズの桑名流通センターとDCMの大府商品物流センターの位置関係は、この共同配送の実現を容易にしています。双方の物流センターを繋ぐことで、効率的な運行が可能となり、顧客へのサービス向上につながることでしょう。
共同配送の実施計画
今回の共同配送は、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県にわたって展開され、週26回の運行が計画されています。カインズの6店舗とDCMの22店舗を対象に、双方が物流を共有し合うことで、地域のニーズにも柔軟に対応可能です。
今後の展望
この新たな物流プロジェクトは、単なる効率化だけでなく、社会全体の持続可能性向上にも貢献するものと期待されています。高末は、今後もカインズやDCMとの連携を強化し、さらに多くの物流課題に取り組む意向を示しています。「私たちの使命は、市民の生活を支えるインフラとして、商品供給の安定を図ることです」と高村氏は強調します。
高末、カインズ、DCMの共同配送は、このような背景をもとに行われる革新的な試みです。物流の効率化のみならず、環境への配慮や地域貢献を目指すこの取り組みが、他の業界にも良い影響を及ぼすことを期待しています。