医療機器スタートアップTCNプライムが資金調達に成功
株式会社TCNプライム(東京都文京区、代表取締役:小西明英)が、シリーズAラウンドで2億4,000万円の資金調達を成功させました。この資金調達は、医療機器分野に特化したベンチャーファンドである株式会社RMDパートナーズ東京が運営するMedical Development Support2号投資事業有限責任組合からのもので、同社の成長を支える重要な一歩となります。
会社の背景と設立経緯
TCNプライムは、循環器内科医の小西明英と岩崎正道の研究成果を基に、医療機器開発スタートアップ企業を支援するニューロシューティカルズの協力のもと、2023年10月に設立された神戸大学認定のベンチャー企業です。設立の背景には、心臓疾患を持つ患者のニーズに応えるための強い意志があります。
現在、TCNプライムが開発している医療機器は、心臓疾患に特化したカテーテルシステムが二種類あります。一つはDIVE(拡張期大動脈弁拡張術)用のバルーンカテーテルシステム、もう一つはECMO(人工肺とポンプを用いる体外循環治療)用の新型ECMOカテーテルです。これらの製品は、循環器内科のアンメットクリニカルニーズに基づいて設計されており、早期の実使用を目指しています。
資金調達の目的とその背景
TCNプライムは、開発中の二つの医療機器が初期段階を超えることを目指しており、臨床環境に持ち込むためのファイナル製品の開発を進めています。その過程で、医療機器は薬事承認の取得を目指し、慎重な手順で開発が進められます。特に、DIVE用のバルーンカテーテルシステムでは、カテーテルの開発に加え、駆動機の同時開発も進めています。
今回の2億4,000万円の資金は、DIVEシステムのデザインフリーズ、試作検証、さらには量産体制の整備に使用される予定です。これにより、TCNプライムは新たな医療技術の実現に向けて、一層の努力を重ねることが可能となります。
DIVEシステムの特徴とその意義
DIVE(Diastolic Inflation for Valvular Expansion)は、TCNプライムが新たな治療法として開発を進めている最先端の方法論です。対象とする疾患は、予後不良かつ重篤な重度大動脈弁狭窄症です。これまでにBAVやTAVIといった治療法が存在しましたが、DIVEは特にこれらの治療法に適さない患者に対する新たな選択肢を提供することを目的としています。
DIVEは、心電図と同期して弁を拡張する方法であり、高頻脈ペーシングを用いないため、従来のBAVと比較しても安全性が高く、より確実な治療法であることが期待されています。
未来への展望
今後、TCNプライムは新しい医療機器の開発を推進し、患者様への負担を軽減しつつ、医療従事者からの信頼を得られる製品を提供していく方針です。同社の動きは、医療分野におけるイノベーションの象徴と言えるでしょう。TCNプライムの将来的な発展が、心臓疾患治療における新たなスタンダードを築くことに期待が高まります。
会社情報
- - 設立:2023年10月6日
- - 事業内容:医療機器の開発および販売
- - 本社所在地:〒113-0033 東京都文京区本郷1-28-10 NCIインキュベーター内
- - 代表取締役:小西明英
- - 公式サイト