手話教育の受賞
2024-09-19 20:59:41

HTB北海道テレビが手話教育をテーマに優秀賞を受賞した理由とは?

HTB北海道テレビが手話教育報道で受賞



2024年の日本民間放送連盟賞で、HTB北海道テレビが「ろう学校の手話教育のあり方をめぐる一連の報道」をテーマに特別表彰部門「放送と公共性」の優秀賞を受賞しました。この表彰は、放送の公共性を意識した民放各社の活動に与えられるもので、HTBにとっては2008年から数えて5回目の受賞となります。

受賞のきっかけとなったのは、札幌聾学校に通う児童2名が、日本手話で教育を受ける権利が侵害されたと訴えた裁判です。日本手話は日本語とは異なる独自の文法を持ち、視覚的な表現が大きな特徴です。しかし、国内では通常、日本語の語順に則った「日本語対応手話」が多く用いられており、日本手話を教えられる教師の数は年々減少しています。

札幌聾学校では2007年に日本手話の授業が導入されましたが、原告たちは、日本手話が可能な教師が少なく、授業を受けられなくなった状況を訴えています。HTBはこの問題を真剣に伝え、関連ニュースを続けて流し、さらには、「テレメンタリー2024 世界一きれいな言葉」というドキュメンタリー番組も制作しました。この番組は、字幕が自動的に表示される「オープンキャプション」や、日本手話通訳を備えている点で、HTBにとって初めての試みです。

また、手話についての理解を高めるために、報道班はろう者を招いたトークイベントを開催するなど、社会への啓発活動にも取り組んでいます。講評では、今回の報道が日本手話と日本語対応手話の違いを明確に伝え、手話の学びの機会が失われつつある重要な問題に光を当てていると評価されています。

当時の報道部でこの活動を担当していた喜多和也ディレクターは、「手話は1つの言語であるという認識を広めることに努めました。聴者だけでなく、ろう者の意見を意識した報道作りを行いました」と振り返ります。日本手話と日本語対応手話に関する議論が多様な中で、手話がこれまで軽視されてきた歴史を考慮しつつ、丁寧な報道を心がけてきたといいます。

今後の取り組み



毎年9月23日は「手話言語の国際デー」として認識されており、これに先立ち、HTBは特別なイベントを開催します。2024年9月21日(土)の午前10時から、札幌市民交流プラザで「手話でつながる~身近なことから宇宙のことまで知ろう、触れよう、手話に」というテーマでトークショーと手話体験企画が実施されます。このイベントでは、27の資格を持つろう者の春日晴樹さんが登壇する他、参加者は簡単な手話に挑戦することができます。

HTBの取り組みは、手話を通じたコミュニケーションの重要性を広め、全ての人々に自分の言語に対する誇りを持たせることを目指しています。今後もこの問題に真摯に向き合い、社会全体での認識を深める活動が進むことでしょう。


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会社名
北海道テレビ放送株式会社
住所
北海道札幌市中央区北1条西1丁目6番地
電話番号
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