金沢工業大学がTeSH GAPファンドプログラムに採択
金沢工業大学が、大学発の新産業創出を目指す「TeSH GAPファンドプログラム」に採択され、今後の事業化を見据えた研究活動が注目されています。2025年5月に発表された採択結果によると、「ステップ1」には藤田萩乃准教授の「楕円型マイクロ波加熱チャンバの開発」が選ばれ、「ステップ2」には赤坂剛史教授の「最大積載量50kg・飛行距離50km超のVTOL型有翼電動ドローンの事業」が採択されました。このふたりの教授が取り組む研究は、それぞれの分野での革新をもたらす可能性を秘めています。
TeSH GAPファンドプログラムとは
このプログラムは、科学技術振興機構(JST)が提供するもので、大学の基礎研究と事業化の間に生じるギャップを埋めることを目的としています。北陸地方に点在する13大学と3高専の研究者に対する支援を行い、応用研究に向けた第一歩と、スタートアップの組成に関わる重要な活動を後押しします。
「ステップ1」は応用研究を対象にしており、概念実証の前段階までの支援を行います。一方で「ステップ2」は、概念実証からスタートアップの組成までを支援し、実用化を目指す研究や事業に資金を提供します。このプログラムは、地域の産業振興や新たな雇用創出にも寄与しています。
藤田准教授の「楕円型マイクロ波加熱チャンバの開発」
藤田准教授が取り組む研究は、産業用電子レンジであるマイクロ波加熱装置の新しいデザインに焦点を当てています。この装置は食品の加熱、乾燥、工業材料処理、さらには殺菌など、さまざまな応用があるのですが、特に加熱時間の短縮が求められています。従来の装置は高額で運用コストがかさむため、藤田准教授の提案する楕円型加熱チャンバは、コストを大幅に削減しながら、加熱時間や電気代も半減することを目指しています。この「置き換えビジネス」モデルは、既存のメーカに対しても大きな影響を与える可能性があります。
赤坂教授の「VTOL型有翼電動ドローンの事業」
赤坂教授が開発した大型ドローンには、最大積載量50kg、飛行距離50kmという高い性能があります。昨年の「ステップ1」では0号機のプロトタイプが成功裏に飛行実験をクリアし、実用化に向けた道筋が整いつつあります。この技術は、山間地や離島、災害時の物資輸送に革命をもたらすと期待されています。現在、さらなる飛行実証を進めており、運搬業務を行う企業や新たに物流にドローンを導入しようとする事業者との連携を図ることも視野に入れています。
これらの研究は、金沢工業大学の技術革新に対する意欲を示しており、地域に根ざしたスタートアップエコシステムの構築を促進しています。今後の進展が期待される中、双方の研究が実用化されることで、地域の文化や産業への大きな貢献が見込まれます。
具体的な採択者情報や研究室の詳細については、TeSHの公式Webサイトをご覧ください。また、藤田准教授と赤坂教授が運営する各研究室の研究内容も随時更新されています。ぜひチェックして、最新の動向を追ってみてはいかがでしょうか。