特別な日本酒「甲子 酒々井の諸事情」が誕生
株式会社飯沼本家(千葉県印旛郡)が令和7年12月中旬に発売を予定している「甲子 酒々井の諸事情」。この酒は、醸造ミスから生まれた特別な一品です。杜氏の不断の努力によって生まれ変わったこの酒の詳細と背景をご紹介します。
発売へ向けた背景
2025年11月、販売予定の限定酒「酒々井の夜明け」の醸造は順調に進んでいましたが、同時に仕込んでいた普通酒のタンクに誤って蒸米と醸造アルコールを投入してしまいます。このミスにより、通常の仕込み工程が一変し、本来の目的であった「酒々井の夜明け」が大きな影響を受けてしまいました。
杜氏の苦悩と挑戦
杜氏はこの醸造ミスの知らせを聞いた瞬間、深夜まで眠れぬ思いを抱えることになりました。本来なら純米大吟醸として仕込みを進めていたお酒が普通酒に変わってしまったからです。酵母が死滅してしまう恐れもあり、発酵が止まってしまう結果となるなら、日本酒にはならないかもしれないという不安が頭をよぎりました。 最善を尽くすため、杜氏は残った酵母が活性を保つよう、調整を重ねました。
経過と成果
日々のもろみの状態を見守りながら、酵母にかかるプレッシャーを最小限にする努力が実を結び、23日目を迎える頃、アルコール分が15%に達し、無事に上槽を迎えることができました。しかし、初期の酵母の増殖がうまくいかなかったため、結果的に酸度が低く、微妙な味わいになってしまいました。
そこで杜氏は後半の段階で白麹を使用して酸味を追加し、最終的には商品として供するに足る味に仕上げることができました。出来上がったお酒は、アルコールを添加したにもかかわらず、醸造アルコール感がさほど強くなく、甘さの奥に酸味が広がる面白い酒となりました。この経験は、酒造りの繊細さを再認識させ、杜氏たちにとっての成長の機会ともなりました。
限定日本酒としての魅力
「甲子 酒々井の諸事情」は、普段とはひと味違った特別な商品として、多くのお客様にご案内されることを心より願っています。発売開始は2025年12月中旬から予定されており、全国のお取扱店にて入手可能です。価格は1.8Lが3,520円(税込)、720mlが1,760円(税込)の設定です。
お客様からの期待の声
多くのファンからは、受注ストップの事態にもかかわらず、「どんな味なのか楽しみに待っています」と暖かいコメントをいただいています。杜氏たちの努力によって作り上げられるこの特別な一杯を、ぜひ皆様にも味わっていただきたいと心から願っています。失敗から生まれた美酒を、皆さんで共に味わいましょう!