旭化成とTIS、インドで偽造防止プラットフォーム「Akliteia」を開始
旭化成株式会社とTIS株式会社は、合弁で構築した偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」を用いた真贋判定の取り組みをはじめました。このプラットフォームのインドでの活用は初めてで、特に機能性材料メーカーであるアジア物性材料株式会社と連携して進められます。
偽装問題の深刻化
近年、国際的なサプライチェーンが複雑化する中で、輸出先での偽装が大きな課題となっています。輸出製品は多くの事業者を経由するため、偽造品が混入するリスクが高まっています。また、原材料や間接材料においても偽造品が出回ることが問題視され、これが完成品の品質を損なう懸念が強まっています。したがって、サプライチェーン全体における偽造防止の取り組みが急務となっています。
アジア物性材料の取り組み
アジア物性材料では、ダイヤモンドの加工に用いる機能材料のセレンを扱っています。このセレンは、ダイヤモンドの原石を検査する際に必要不可欠であり、その品質が加工効率に直接影響を及ぼすため、高純度のものが高値で取引されています。しかし、偽造品が多発しており、これがブランドの信頼性を脅かす事態を招いていました。
偽造品が流通すると、原石加工時の精度が低下し、採取できるダイヤモンドの量が減少する恐れがあります。そこで、「Akliteia」が導入され、正規品に偽造防止ラベルを貼付し、ブロックチェーン技術で流通情報を管理します。これにより、製品の真正性をスキャンによって確認し、最終的には加工業者で偽対策が施されることになります。
「Akliteia」の技術的特徴
「Akliteia」は、偽造防止ラベル、真贋判定デバイス、ブロックチェーンの三つの要素から成り立っています。旭化成の独自技術を用いた特殊パターン印刷のラベルが製品に適用され、これを用いてデバイスでスキャンすることで真正品か偽造品かを判定します。この結果はTISが運営するクラウドサービス「Akliteiaネット」に記録され、サプライチェーン全体で秘匿性を保ちつつ情報が共有されます。
サプライチェーンにおける透明性向上
この取り組みによって、流通のどの段階で偽造が行われているか、または発生状況の把握が可能になり、事業者はより安心して取引が行えるようになります。サプライチェーンは消費者にとっても重要な要素であり、偽造品を排除し、安心・信頼な製品を提供することが求められています。
旭化成とTISは、「Akliteia」を通じて本物の製品を市場に届けるための努力を続け、グローバルな取引における信頼性保持を目指しています。今後の展開にも期待が高まります。