光量子コンピュータの未来を切り拓くOptQC
最近、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)は、光量子コンピュータに特化したスタートアップOptQC株式会社に対して、追加的な出資を行うことを決定しました。これは、グローバル・ブレイン株式会社や国立研究開発法人科学技術振興機構とともに実施された共同投資の一環でもあります。
光量子コンピュータは、従来のコンピュータでは難しいとされる計算を実現するための次世代技術として注目を集めています。特に、その適用範囲は広く、機械学習や新薬開発、金融リスクの管理、さらには材料設計にまで及び、今後の社会に対する影響力が大きい分野での活用が期待されています。
しかしながら、現時点での量子コンピュータは、産業応用に必要な大量の量子ビットを実現することが難しく、また極低温や特殊環境が必要とされるため、消費エネルギーが高いという課題に直面しています。これが実機供給を制約し、さらなる研究や産業応用の拡大を阻む要因となっています。
そこで、OptQCは東京大学の古澤研究室で20年以上にわたる光量子技術の研究成果を基にした独自のアプローチを推進しています。この取り組みにより、実用的な量子コンピュータの開発及び普及を目指しており、前回のラウンドから開発や事業、組織構築において全方位に展開を進めているとのことです。この全ての活動が、光量子コンピュータの商用化を加速させるための基盤を形成しています。
また、OptQCは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」においても二つの研究開発テーマで採択されています。これにより、光量子コンピュータの性能向上及び拡張性の実現に向けた研究が進められています。
今後は、さらなる技術開発と共に人員体制の強化も行い、光量子コンピュータの商用化を推進していく意向を示しています。東京大学IPCのマネージングパートナー、古川尚史氏とパートナーの古川圭祐氏は、OptQCの成長に大いに期待を寄せています。彼らは「プロダクト及び事業開発ともに非常に優れたチームが形成され、次世代の情報技術産業に貢献できるよう、全力で支援していきたい」とコメントしています。
なお、AOI1号ファンドは東京大学周辺でのオープンイノベーションを推進することを目的としており、企業とアカデミアの連携によるベンチャーの育成や投資を行っています。引き続き、こうした取り組みを通じて新たな成功事例を生みだしていく方針です。
OptQC株式会社の概要
OptQCは、光量子コンピュータの開発と販売を行うスタートアップで、2024年9月に設立されました。代表取締役CEOは高瀬寛氏で、東京都豊島区に本社を構えています。公式ウェブサイトは
こちらからアクセスできます。
今後もOptQCの動向から目が離せません。光量子コンピュータがもたらす新しい技術革新が、私たちの日常生活やビジネスの在り方をどのように変えていくのか、大いに期待されます。